日本が再び世界を驚かせた。圧倒的に不利な下馬評の中で迎えたスペイン戦で躍動し、優勝候補の一角を2-1で撃破。ドイツ戦に続く番狂わせで決勝トーナメント進出を決め、「ドイツに勝った。スペインにだって勝てるチャンスはある」と話していた森保監督は喜びをかみしめた。
ドイツ戦同様、先制されても、ゲームを支配されても慌てなかった。後半開始から三笘、堂安と攻撃的なカードを切り、同3分に堂安が豪快にミドルをたたき込み、3分後に田中のゴールで畳みかける。敗退の危機すら出てきたスペインが仕掛ける猛攻も集中力を保ってしのぎ切った。
ドイツ撃破で満足している選手は一人もいなかった。前日に「結果が全ての世界。成長したといえるのは結果を出した時」と力を込めたのは主将の吉田。「1次リーグを突破できるかは日本サッカー界の未来を左右する」と悲壮な決意を胸に臨んだ一戦だった。
チーム全体の思いを代弁してもいた。指揮官に「重圧のかかる試合だと思うが、自分たちの力を信じて、仲間を信じて戦いに臨んでほしい」と送り出された選手は、スペインの華麗なパスサッカーに翻弄されつつも走り、体を張り、ゴールを目指し続けた。
W杯で初めて2大会連続の決勝トーナメント進出という新たな歴史は作った。しかし、16強で散った前回ロシア大会後の4年余り、目標に掲げてきたのは過去最高のベスト8以上。前提条件となる1次リーグ突破を果たし、まだ見たことのない景色を求めて歩みを進めていく。(奥山次郎)