感動の大金星再び スタンドは号泣と熱狂の渦 「新しい景色」へ日本代表が挑戦権

スペインに勝利して決勝トーナメント進出が決まり、歓喜する日本サポーター=ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)
スペインに勝利して決勝トーナメント進出が決まり、歓喜する日本サポーター=ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)

【ドーハ=小松大騎】2度目の大金星を成し遂げたサムライブルー。ドイツ戦を彷彿(ほうふつ)とさせる奇跡の逆転勝利にスタンドでは感動から号泣するサポーターが続出するなど、大いなる歓喜に湧いた。決勝トーナメント進出をかけ、ドーハの地で行われた「無敵艦隊」の異名を持つスペインとの一戦は、前半に先制される苦しい展開ながら後半に怒濤(どとう)の連続ゴールで逆転。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、選手たちがピッチに飛び出し、歓喜の輪ができた。興奮状態の日本サポーターから大きな声援が送られ、日本代表は悲願のベスト8という「新しい景色」への挑戦権を手にした。

試合前、盛り上がる日本サポーター =ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)
試合前、盛り上がる日本サポーター =ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)

スペイン戦の舞台は「ハリファ国際競技場」で、初戦のドイツから大金星をあげた縁起の良い競技場。スタンドは約3割が日本カラーのブルーで埋まり、大きな日の丸の横断幕が掲げられた。試合前から2度目のジャイアントキリング(大番狂わせ)を願い、日本サポーターの力強い「ニッポン」コールがこだまする。膨らませた青色のゴミ袋を振り回しながら応援する人もいた。

試合は前半、巧みなボール回しのスペインに主導権を握られる。攻め込まれる場面も目立ったが、その度にスタンドからは「粘って!」と、選手を鼓舞する熱い声援が送られた。試合が動いたのは前半11分。アルバロ・モラタの高い打点のヘディングで先制ゴールを許し、日本サポーターから大きな悲鳴が上がった。日本は前田大然の献身的な守備からシュートチャンスを作るも決定機は作れず、前半は0-1で折り返した。

苦しい展開ながら、サポーターたちの懸命の応援を背に、日本は後半から快進撃をみせる。途中出場の堂安律が強烈な左足のミドルシュートで同点弾をたたき込むと、3分後には田中碧が右ひざでゴールに押し込み逆転。スタンドのボルテージは最高潮に達し、涙ぐむサポーターが続出した。

その後もスペインによる波状攻撃が続いたが、吉田麻也を中心に必死の守備で耐え忍ぶ。日本サポーターを中心にスタンドは日本を応援する雰囲気に包まれ、スペインの攻撃中はブーイングの嵐に。アディショナルタイムは7分で、多くのサポーターが声援を送りながらも日本がリードしたまま終了する瞬間を待ち、時計を何度も見ていた。

そして、試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。スタンドからは大歓声があがり、死力を尽くして戦った選手たちを総立ちで祝福。スタンドに満面の笑みであいさつする選手に「感動をありがとう」などと絶叫してねぎらっていた。

「何度も気持ちを揺さぶられた。こんなに感動した試合は始めて」。3大会目のW杯観戦という千葉県市原市の自営業、西村敬史さん(44)は興奮した様子でこう振り返る。タイ在住の会社員、平田謙一さん(34)は「勝ったことが信じられず、ふわふわしている。堂安選手の同点弾で会場の雰囲気が一気に変わった」。長友佑都の妻で女優の平愛梨さん(37)も「本当に良かったです」と笑顔だった。

1993年にW杯アメリカ大会出場への夢をあと一歩で絶たれた「ドーハの悲劇」から29年後、そんな因縁の地でドイツ・スペインを破る歴史的勝利をあげた日本代表。ベトナム在住の会社員、柴裕一さん(50)は「大学生の頃にリアルタイムで、『ドーハの悲劇』をテレビ観戦していた世代なので、ドーハの地での勝利は喜びもひとしおです」と感慨深い様子。「競技場のみんなが日本を応援してくれて感動した。ドイツとコスタリカ戦の試合結果も気になったし、目の前の試合もドキドキで、何度も気持ちが揺さぶられた」と振り返った。

熱狂の渦となった競技場では、試合後も多くのサポーターがとどまり、「ニッポン」コールをあげた。家族4人でドバイから来た会社員の松山喜典さん(41)は「ここまできたらベスト8以上を目指し、日本の『強豪キラー』ぶりをさらに発揮してほしい」とエール。長男の小学5年、翔君(11)は「ゴールがいっぱい入って感動しました。日本代表頑張れ」とさらなる躍進を期待した。

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