厚い壁砕いた田中 同点弾から3分後「ご褒美かな」

【サッカーカタールW杯2022 日本代表対スペイン代表】 後半、ゴールを決めて喜ぶ田中碧(中央)ら =ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)
【サッカーカタールW杯2022 日本代表対スペイン代表】 後半、ゴールを決めて喜ぶ田中碧(中央)ら =ハリファ国際競技場(撮影・村本聡)

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会第12日は1日、1次リーグE組最終戦が行われ、日本はスペインに2―1で逆転勝ちし、2大会連続4度目の決勝トーナメント進出を決めた。日本は後半3分、堂安律(フライブルク)の豪快なミドルで追いつくと、3分後には三笘薫(ブライトン)がゴールラインぎりぎりで折り返したボールを田中碧(あお)(デュッセルドルフ)が押し込み逆転した。

田中が主役に躍り出た。後半6分、ゴールラインぎりぎりから三笘が折り返しを上げると、体を投げ出すように右脚に当てて勝ち越し点を決めた。パスが来ると「信じていた」と、スピードを落とさずゴール前に飛び込み決勝点を生んだ。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の検証の末にゴールが認められると、人さし指を天に突きあげた。

自他ともに認める練習の虫。昨夏渡ったドイツ2部デュッセルドルフで通訳としてサポートする広岡太貴さん(32)は「あそこまでストイックで、サッカーのために生きる選手は見たことがない」とうなる。全体練習がない日も筋力トレーニングに励み、監督から「もう、碧に練習をやめろと伝えてくれ」と懇願されることもあった。

先発定着もままならなかった今年2月ごろのことだった。試合後、照明が落ちた真っ暗なピッチで黙々とダッシュを繰り返した。外野から何をいわれようと、「自分自身を信じていた」と田中。生活の全てをサッカーにささげ、ボールに悔しさをぶつけてきた。

代表では、W杯アジア最終予選途中から採用した4-3-3の布陣で中盤の主力に定着した。しかし、9月のドイツ遠征から軸になった4-5-1の布陣で、W杯を目前に定位置を失っていた。11月23日の1次リーグ初戦ドイツ戦では故障の守田(スポルティング)に代わり、スペイン戦では右膝を痛めた遠藤に代わり先発。〝代役〟を覆すには「目に見える結果を残すのが手っ取り早い」との言葉どおり仕事を果たした。

大一番で努力が実を結んだ。「今までの人生を含めて、神様がご褒美をくれたのかな」。2度の〝奇跡〟を中盤で支えた背番号17は感慨を込めた。(ドーハ 川峯千尋)

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