「あそこは俺のコースなので。思い切って打った」。同点ゴールを振り返った堂安はこう言って胸を張った。後半開始から出場し、前半の重い空気を切り裂く貴重な同点弾だった。
同じく後半から投入された三笘が攻守に要となった。堂安のゴールも高い位置からプレスをかけた三笘の仕事があったからこそ。その働きがあり、さらに伊東が右で相手と競り合ってこぼれた球を拾った堂安が左足でミドルシュート。ボールはGKシモンの手をはじき、ゴールネットを揺らした。
スペインとは因縁がある。昨夏の東京五輪準決勝。延長後半に失点を許し、1968年メキシコ五輪以来のメダルを逃した。W杯代表には、その際のオーバーエイジ3人を含め、12人が集う。「同じ相手に1年で二度も負けられない」と堂安。田中も「五輪の二の舞にはなりたくない」。この日は昨夏の雪辱を期す舞台でもあった。
同点に追いついた3分後には堂安が右から蹴り入れた球を遠いサイドの三笘がゴールラインギリギリのところから必死に折り返し、田中が右脚で押し込んだ。「ずっとW杯で点を取るとイメージしていたので、実行できて良かった」と田中。チーム一丸、気持ちを一つにしてのが見事な逆転劇だった。