防衛費増、財源捻出に「埋蔵金」探し

閣議に臨む岸田文雄首相(中央)ら=11月25日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)
閣議に臨む岸田文雄首相(中央)ら=11月25日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

政府が増額方針を示す防衛費の財源確保に財務省が頭を悩ませている。特別会計の剰余金や含み益などいわゆる「埋蔵金」や、新型コロナウイルス対策事業の積立金の活用など捻出先の洗い出しに躍起だ。しかし、どれも巨額な防衛費を賄う財源としては安定性に欠ける。財務省は増税による恒久財源の確保を試みるが、与党内の反対は強く、調整は難航が続く。

「(5年間の中期防衛力整備計画の関連経費は)これまで20兆円台を維持していた。30兆円を超えて増額することになれば、大きな歴史の転換点になる」

鈴木俊一財務相は2日の閣議後会見でこう強調し、今後5年間で40兆円超の防衛費の確保を求める政府方針を牽制(けんせい)。改めて防衛費は安定的な財源で確保すべきとの考えを強調した。

岸田文雄首相は先月末、防衛費など関連予算を令和9年度に国内総生産(GDP)比2%に当たる11兆円規模と、現在から倍増させる考えを表明。年末までにその財源確保の措置を決定する方針を示している。

増税への拒否反応が強い与党に配慮し、財源候補として財務省が検討するのが一般会計とは別に管理される特別会計だ。その中での有力候補が、為替が急激に変動した際の市場介入を行うための外国為替資金特別会計(外為特会)だ。

外為特会は、外国通貨や米国債を保有・運用しており、利息収入などで年間2兆~3兆5千億円程度の剰余金が生まれている。これまでも7割を一般会計に繰り入れ、防衛費などにも充てている。最近の米国債の金利上昇で運用収入が増加傾向にあることから、5年度は繰り入れ割合を一時的に引き上げ、防衛財源に充てる案が浮上している。

また、新型コロナ対策で厚生労働省所管の独立行政法人に積み上がった利益剰余金(計1494億円)や、国の貸付制度である財政投融資の特別会計の積立金(3年度末で約1・2兆円)の活用も財源候補だ。東京・大手町の大型複合ビル「大手町プレイス」の売却収入(約4千億円)の活用も検討されている。

野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは「与党内で増税への反発は強く、来年の財源は剰余金など一時的なものと国債利用で落ち着くのではないか」とみている。(松崎翼)

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