政府が月内に予定する国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定に絡み、自民、公明両党が2日、「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有について合意した。政府は両党に示した見解の中で、反撃能力を「専守防衛」に基づき運用すると強調し、3文書には「先制攻撃は許されないとの考えに一切変更はない」と明記する方針だ。敵領土内の軍事目標への攻撃を可能にする防衛政策の大転換となるだけに、国民の理解を幅広く得ようという姿勢がにじむ。
岸田文雄首相は2日の参院予算委員会で、反撃能力を保有する意義について、「こうした能力を向上させることによって抑止力、対処力が向上する。相手国がわが国を攻撃をすることをためらうことになる」と強調した。
国連憲章51条は、他国からの武力攻撃が発生した場合に自衛権の行使を認めている。これに基づき、政府は、①日本や同盟国への武力攻撃で日本の存立が危機②他に適当な手段がない③必要最小限度の実力行使―という「武力行使の3要件」を定めている。