連合は1日、千葉県浦安市のホテルで中央委員会を開き、5%程度の賃上げを求める令和5年春闘の闘争方針を正式に決めた。過去7年にわたって「4%程度」としてきた要求水準を引き上げ、急激な物価高をカバーするとともに、伸び悩みが続く賃金水準の底上げを目指す。
芳野友子会長は、国内の労働者は物価高と円安、新型コロナウイルス禍の三重苦にあるとした上で「日本は慢性デフレから抜け出せない中で急性インフレに襲われており、とにかく賃上げが必要だ」と訴えた。
5%程度の賃上げ要求については「物価高への対応だけではない」と強調。先進国の中で伸び率が著しく低い賃金水準の底上げに加え、企業規模や雇用形態、男女間の賃金格差の是正を目指すものだと説明した。
5年春闘の闘争方針では基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を月給の3%程度とし、定期昇給分と合わせて5%程度の賃上げを求める。明確な要求としては5~6%とした平成7年以来の水準となる。また、雇用形態を問わず適用される企業内最低賃金は、4年に続き「時給1150円以上」を求める。
連合によると、4年春闘の平均賃上げ率は2・07%でコロナ禍前の水準まで回復。一方、物価変動を反映した実質賃金は4月から6カ月連続でマイナスとなり、家計を圧迫している。(村山雅弥)