KDDI(au)は1日、携帯電話基地局に米スペースXの小型衛星を活用した通信システム「スターリンク」を接続する運用を静岡県熱海市の離島・初島で始めた。今後、山間部など1200カ所の基地局でも同様の運用を進めるほか、通信障害や災害など非常時もスターリンクを活用する。現地で会見した高橋誠社長は「日本のどこでも、(携帯電話が)つながらないということがないようにする。デジタルディバイド(情報格差)を解消したい」と話した。
初島に設置された携帯電話基地局は、スターリンクのアンテナに接続しており、スターリンクの低軌道衛星を介してKDDIの基幹通信網につながっている。この基地局の周辺数キロの範囲であれば特別な操作をすることなく同社の携帯電話を利用できる。
通常の携帯電話基地局は、光ファイバーで基幹通信網と接続しているが、山間部や離島、建設現場などでは光ファイバーの設置が困難で通信環境の改善が課題となっていた。
スターリンクは高度550キロ程度の低軌道上にある多数の小型衛星を活用するため、既存の通信衛星より通信速度が速いといった特長がある。ロシアの侵攻を受けたウクライナでも活用された。(大坪玲央)