電力自由化ないがしろ、関西電力に批判不可避 法令順守意識も低く

大阪市北区にある関西電力本店
大阪市北区にある関西電力本店

事業者向け電力販売でカルテルを結んだとして、公正取引委員会が1日、中部電力、中国電力、九州電力の3社側に課徴金納付命令案などを通知した。一方で、公取委が各社と同時に立ち入り検査した関西電力は課徴金減免(リーニエンシー)制度で納付を免除される見通しで通知を受けていない。ただ、電力自由化の趣旨をないがしろにし、利用者の信頼を裏切ったとの批判は避けられそうにない。

通知を受けた3社のうち九州電は取材に、平成30年10月~令和2年10月の電力契約で関電とカルテルを結んだと公取委から指摘されたことを明らかにした。大規模工場などの「特別高圧電力」、中小規模工場や官公庁などの「高圧電力」について「互いに相手の供給地区で安値による電気料金の提示を制限する合意があった」との調査結果が示されたという。

一方、九州電とカルテルで合意していたとされる期間中の令和元年9月、関電は原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役から幹部が多額の金品を受領していたことを公表。2年4月には弁護士らによる「コンプライアンス委員会」を設置するなど、企業風土の改善を進めていたが、カルテルは3年4月に公取委が関電などを立ち入り検査するまで発覚しなかった。

関係者によると、カルテルは関電が3社に協議を持ち掛け、九州電と同様に中部電、中国電とも2社間カルテルを順次結んだとみられる。背景には電力自由化による競争激化があった。

電力小売りは事業者向けから順次自由化され、平成28年に家庭向け電力も対象となり全面自由化。新電力の参入や大手電力のエリアを超えた営業が認められるようになり、競争が激化していた。大手電力各社は価格の引き下げを避けようと、ライバルと裏で手を握って一部顧客を欺いていた可能性がある。

一方で、翌29年4月には都市ガス小売りも全面自由化。関電は関西で、電力・ガスを巡って大阪ガスと激しい販売競争を繰り広げた。大ガスの関係者からは「電力で公正な競争が確保されていなかったとすれば問題だ」との声も上がる。

また、関電と高圧電力を契約している大阪府南部の泉州タオルメーカーからは「織機に電気を多く使うので、カルテルで電気代をわざと上げていたとしたらひどい。最近は(燃料費高騰で)電気代が半年で3割も上がり、踏んだり蹴ったりだ」と嘆く。健全な競争を妨げる関電の法令順守に対する意識の低さに批判が集まりそうだ。(牛島要平)

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