日産・三菱自の軽EVが受賞ラッシュ 日本カー・オブ・ザ・イヤーで海外勢と対決

「2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した日産自動車の「サクラ」(左)と三菱自動車の「eKクロスEV」(実行委員会提供)
「2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した日産自動車の「サクラ」(左)と三菱自動車の「eKクロスEV」(実行委員会提供)

日本市場で電気自動車(EV)の普及が本格化する「EV元年」といわれる令和4年が師走を迎えた。日産自動車と三菱自動車が共同開発した軽EVは価格や機能、デザインなどが高く評価され、受賞ラッシュが続く。自動車雑誌の編集者らが選んだ最も優れた車に贈られる「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の「10ベストカー」にも入った。12月8日にはその頂点を決める最終選考会が開かれる。同じく10ベストカーに選出された海外勢のEVとの対決に勝てるか注目される。

補助金効果などで受注好調

日産自動車の軽EV「サクラ」(黄金崎元撮影)
日産自動車の軽EV「サクラ」(黄金崎元撮影)

日産は「サクラ」を、三菱自は「eKクロスEV」を5月20日に発表し、6月16日に発売した。日産が企画と開発を担当し、三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)で生産する「兄弟車」だ。1回の充電で約180キロ走れる。

三菱自動車の軽EV「eKクロスEV」(黄金崎元撮影)
三菱自動車の軽EV「eKクロスEV」(黄金崎元撮影)

両社によると、サクラは発表から約3週間で受注台数が1万1000台を突破。eKクロスEVも約1カ月で月販売目標台数850台の4倍となる約3400台を受注した。

好調なスタートを切った最大の要因は、手頃な価格だ。サクラの価格は233万3100円からだが、国の補助金55万円や自治体独自の補助金を使えることが奏功した。

全国軽自動車協会連合会によると、サクラの10月までの累計販売台数は1万4822台を記録したが、自動車業界では半導体不足が解消されていない。

日産はサクラの納期が1年以上先になるなど長期化しているため、10月末から受注を一時停止。公式ウェブサイトで「1日でも早くお届けできるよう、継続して生産対応に努めております」と説明している。

静かな走り、デザインなどで高評価

とはいえ、日産と三菱自の軽EVへの評価は高い。

サクラは10月、日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」を受賞した。「静かでスムーズな走りは、軽自動車の常識を完全に超えている」などと絶賛され、デザインも「落ち着いたスタイリング、シックな2トーンカラー、先進かつ上質なインテリアなど、車格を超えた仕立てで統一している」と評された。

11月には、自動車評論家らでつくる日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が優れた車に贈る「RJCカーオブザイヤー」を、eKクロスEVとそろって受賞。「日常使用で十分以上の走行距離、滑らかな加速やきびきびとしたハンドリング、上質な内外装、最新の安全装備を備え、実用EVとして高い完成度を誇る」というのが受賞理由だ。

このほか、サクラとeKクロスEVはNPO法人「日本自動車殿堂」の「カーオブザイヤー賞」にも輝いた。

問われる「先駆者」の実力

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の「10ベストカー」に選出されたBMWの「iX」(実行委員会提供)
「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の「10ベストカー」に選出されたBMWの「iX」(実行委員会提供)

日産は昨年、全面改良した独自のハイブリッド技術「eーPOWER(イーパワー)」を搭載した小型車「ノート」「ノート オーラ」などが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。小型EV「リーフ」以来10年ぶり5度目の快挙を達成した。

今回は10ベストカーに、サクラとeKクロスに加え、日産のスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」とスポーツカー「フェアレディZ」も選出された。

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の「10ベストカー」に選出された現代自動車の「IONIQ5」(実行委員会提供)
「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の「10ベストカー」に選出された現代自動車の「IONIQ5」(実行委員会提供)

日産と三菱自は世界に先駆けて量産EVを市場投入したが、後発の米テスラに逆転され、大きな差をつけられている。

10ベストカーには独BMW「iX」、韓国の現代自動車「IONIQ5(アイオニックファイブ)」といった海外勢のEVも入った。最終選考会では、EVの「先駆者」である日産と三菱自の実力が問われることになる。令和5年のEV普及の行方を占う試金石にもなりそうだ。(宇野貴文)


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