中国に警戒強めるNATO レアアースなどの対中依存低下へ

29日、ルーマニア・ブカレストで開催された北大西洋条約機構(NATO)外相会合(AP)
29日、ルーマニア・ブカレストで開催された北大西洋条約機構(NATO)外相会合(AP)

【ロンドン=板東和正】北大西洋条約機構(NATO)が中国への警戒を一段と強めている。中国が核兵器など欧米の脅威となり得る兵器を増強する中、NATOは中国の野心的な軍事・技術開発について討議。ロシアの化石燃料に依存し困難に直面している教訓を踏まえ、軍事技術に不可欠なレアアース(希土類)といった戦略物資の対中依存の低下を図る見通しだ。加盟国内では中国が台湾を侵攻した場合の影響を精査する動きもあり、対中関係が見直されつつある。

NATOは11月29、30日、ルーマニアの首都ブカレストで外相会合を開催。中国の軍事・技術開発、サイバー活動への懸念を共有し、対中政策について日本などインド太平洋地域や欧州連合(EU)との協力を強化する方針で合意した。

NATOのストルテンベルグ事務総長は30日、閉幕後の会見で「われわれは中国を敵対国とはみていない」と指摘。中国との貿易・経済関係は維持するとしたが、「依存関係を認識しリスク管理をしなければならない」と強調した。

欧州メディアによると、中国は半導体関連やハイテク製品の生産に欠かせないレアアースの世界供給の7割前後を支配する。NATOは、ロシアがウクライナ侵略後、対露制裁を実施した欧州諸国に対し、天然ガスの供給量を削減して揺さぶりをかけたことを踏まえ、欧米と中国との関係がさらに悪化した場合、依存度の高さが「中国に隙を与えるリスクになる」(安全保障の英専門家)とみている。

NATOは6月の首脳会議で今後約10年間の指針となる「戦略概念」を改訂し、中国について「体制上の挑戦」を突き付けていると初言及した。今回の外相会合を受け、戦略概念をもとに近く、具体的な対中政策策定に着手する可能性がある。

近年、欧米での中国の軍事的脅威への警戒度は強まっている。米国は11月29日、中国が2035年までに約1500発の核弾頭を保有する可能性があるとの報告書を発表した。日本の防衛研究所も、中国が情報活動で自国に有利な状況を作る「影響力工作」を活発化させていると分析。ブリンケン米国務長官は11月30日、「NATO加盟国は中国の強圧的な政策や偽情報の拡散、急速で不透明な軍事力増強を懸念している」と強調した。

英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、NATO加盟国は9月に中国の台湾侵攻のリスクを議論する初の専門的な討論会を開催。台湾侵攻が起きた場合の対中関係や安全保障上の課題について意見交換したという。

そうした中、対中関係を見直す加盟国もある。英国のスナク首相は11月28日、英中蜜月の「黄金時代」は「終わった」と断言。英政府はこれに先立つ24日、安全保障上の懸念から、機密情報を扱う政府庁舎などに中国製監視カメラを設置することを中止するよう指示した。

会員限定記事会員サービス詳細