大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)への身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」とみられるサイバー攻撃の発覚から1カ月が経過した。サーバーは依然として復旧せず、診療に欠かせない電子カルテが使えない状態が続く。代わりに使用する紙カルテも作業の煩雑化といった問題に直面しているが、現場は年明けの全面復旧に向け奮闘している。
同センターの入院患者は297人(11月29日時点)。緊急性が低い患者に退院や転院を勧めたこともあり、昨年度の1日平均599人の半分に満たない。1日、記者団の取材に応じた藤見聡(さとし)・高度救命救急センター長は「患者や地域医療機関に負担をかけ申し訳なく思う」と陳謝した。
問題が発覚した10月31日以降、患者の氏名や血液型、病気、投薬歴といった情報がひもづけられた電子カルテの運用が停止。従来なら患者の手首などに付けたバーコードを読み取るだけで済んだ本人確認などを手作業で行うため、倍以上の時間がかかる。
「落ち着きを取り戻し始めている」と藤見氏が話すように、現場は紙カルテに慣れつつあるが、手書き文字の判別という新たな問題も浮上している。読みづらい場合は主治医に電話で確認。外来で患者に薬を手渡す直前に、看護師が誤りに気付いて事なきを得た事例もあったという。関係者は「汚い文字は厳禁と注意喚起している」と話す。