「眠れないんです」。ウクライナ取材から帰国した本紙の黒川信雄記者は現地での生活を振り返る。露軍の空爆が続く中、夜も空襲警報アプリでスマホが幾度となく鳴り、その度にホテルの地下にあるシェルターに逃げ込む。電力インフラへの攻撃が続き、氷点下の冬を迎えて夜の街は真っ暗…
▶それでも現地の人は破壊された住まいなどを修復し「負けない」と口をそろえる。そんなウクライナ人の精神性の源流はコサックにあるとされる。15世紀以降、農奴制を逃れて自由を求めた農民らがロシア南部やウクライナの辺境に築いた自治的な武装集団だ
▶♪我らがコサックの氏族であることを示そう―。ウクライナ国歌はこう歌い上げる。独裁国家に自由が脅かされたとき、この精神が奮い立ったのだろう。いま世界はサッカーW杯の熱戦に酔いしれ、時差の関係で寝不足の日本人も多かろう。ただ、極寒の地で眠れぬ日々と戦う人たちがいることにも思いを致したい。