日本薬科大の多根井重晴教授が奈良県内の大学や専門学校の学生らと連携し、間伐材から抽出されたアロマオイルの香りを付着させた容器入りの飲料の製品化に取り組んでいる。香りをかいだ学生たちからは「気持ちがすっきりする」などと評判は上々。早ければ来春にも店頭に並ぶといい、多根井教授は「アロマオイルの新たな活用法を発信したい」と話している。
東北自動車道沿いに植樹されたドイツトウヒの間伐材を有効活用しようと、今年度、東日本高速道路が多根井教授らにドイツトウヒから抽出されたオイルを使った製品の開発を委託したことがきっかけ。オイルは眠気を覚ます成分も含まれていることから、飲料の開発を手がけることにした。
奈良県出身の多根井教授は、知人がいる奈良学園大や、自身が講師を務める大和高田市立看護専門学校に協力を依頼。学生約50人がオイルの香りをかいだ気分を調べる心理テストに参加し、「ネガティブな気持ちが減少する」「いらいらする気持ちが鎮まる」などと回答したという。
こうした結果をもとに、多根井教授は眠気覚ましの飲料を考案。カフェイン含有飲料の容器のラベルにオイルを付着させ、飲み終わった後でも香りが楽しめるように工夫した。多根井教授は「カフェインとアロマオイルの相乗効果で、集中力を高めることが期待できる。長距離ドライバーや受験生らにうまく活用してもらいたい」と意気込む。
一方、開発に参加した奈良学園大2年生の山内希織さん(19)は「ウッディな香りがさわやかなので、飲み終わった後の容器もフレグランス代わりとして楽しめそう」と期待を寄せている。
飲料は今後、試作を重ねた上で、来春以降に全国のサービスエリアなどで販売する予定だ。