黒人初の党トップ選出 米下院民主党、ジェフリーズ氏

【ワシントン=渡辺浩生】米下院民主党は11月30日、中間選挙の結果、来年1月からの新議会で少数派となることを受け次期指導部を選出し、党トップの院内総務に黒人のハキーム・ジェフリーズ議員(52)を選んだ。

現在の党トップで下院議長のペロシ氏(82)の後任となる。下院議長は多数派から選ばれるのが通例で、少数派の党トップは院内総務となる。党トップに黒人が選ばれるのは民主、共和両党で上下両院を通じて初めて。

下院民主党は、ジェフリーズ氏に加え、ナンバー2の院内幹事に女性のキャサリン・クラーク議員(59)、ナンバー3の会派議長にヒスパニック系のピート・アギラー議員(43)の指導部上位3人を全会一致で選出した。

約20年にわたり党トップとして強力な指導力を発揮してきたペロシ氏が指導部を退き、「多様性ある新世代のリーダー」(米紙)のもと、2024年の選挙で多数派奪還を目指す。

ジェフリーズ氏はニューヨーク出身。現在は党ナンバー5。弁護士やニューヨーク州議会議員を経て13年に連邦下院議員に就任した。19年から会派議長。20年のトランプ前大統領のウクライナ疑惑をめぐる上院弾劾裁判では検察官役を務め、厳しく追及した。

ジェフリーズ氏は記者団に対し「中流層、労働者層、すべての米国民の暮らしを改善するため責任を果たす」と抱負を語った。

次期下院議長には、多数派となる共和党のマッカーシー院内総務の就任が確実視され、バイデン大統領の次男ハンター氏の中露における投資活動やアフガニスタンからの米軍撤退に伴う混乱などを調査し責任を追及する構えを見せる。

党派対立の激化が予想される中、党内穏健派として知られるジェフリーズ氏の調整力が注目される。

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