直球&曲球

宮嶋茂樹 サッカーW杯に水を差すつもりはないが…

ドイツ戦の後半、ゴールを決める日本代表・浅野拓磨=11月23日、ハリファ国際競技場(村本聡撮影)
ドイツ戦の後半、ゴールを決める日本代表・浅野拓磨=11月23日、ハリファ国際競技場(村本聡撮影)

日本中、サッカーのW杯で大騒ぎやないか。日本代表の試合結果に一喜一憂し、メディアもこれ一色や。

まぁ、その盛り上がりに、シロートの不肖・宮嶋が水を差すつもりはないが、この100分の1でも、関心を寄せられんか? 今やサッカー観戦どころか、ロシア軍のミサイル攻撃におびえ、眠れぬ寒い、長い夜を過ごしとるウクライナの民に。それから、沖縄の海で中国の人民解放軍の息がかかった海警局の76ミリ砲に立ち向かう、われらの海上保安官たちに、や。

何やと? 神聖なスポーツの祭典に政治問題を持ち込むべきやない、やと?

スポーツと戦争はもともと、切っても切れん間柄やで。何ちゅうても、古代ギリシャにおけるオリンピック発祥のきっかけからして「停戦」やった。つまり、オリンピックの間だけは戦争をやらん、ということやったはずや。

近代オリンピックになってからも、ナチス・ドイツのヒトラーも、最近の〝大陸の独裁者〟もさんざん政治宣伝の場、国威発揚に利用してきたやんか。

サッカーの試合をきっかけに戦争が始まったこともあるんやで。半世紀以上も前の話やが、W杯の予選結果をめぐって、とうとう戦争にまで発展してしもうたのである。

そう、スポーツの政治利用なんか、「日本以外」の国では常識や。

今大会でも、隣の国のイヤガラセで、日本のサポーターは旭日旗を掲げられんようになった。このままでは、日の丸まで〝戦犯旗〟や、などとデマを飛ばされて、あらゆる競技で使えんようになるかもしれんぞ。

どうせ、政治問題とリンクさせるんやったら、FIFA(国際サッカー連盟)も、W杯の予選で惜しくも敗れたウクライナ代表チームをカタールへ招いて、エキシビションマッチでもやったらどないや? そしたら、〝侵略者〟ロシア軍と戦い続けるウクライナへの国際社会への関心ももっと高まるで。

サッカーの試合に負けても殺されることはないやろうが、ウクライナでの戦いに負けたら「死」以上の恐怖が待っているのである。

【プロフィル】宮嶋茂樹

みやじま・しげき カメラマン。昭和36年、兵庫県出身。日大芸術学部卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、北朝鮮の金正日総書記(いずれも当時)をとらえたスクープ写真を連発。新刊は『ウクライナ戦記』。

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