<独自>政府、「軍艦島」報告書をユネスコに提出 「徴用は全ての日本国民に適用」

「軍艦島」と呼ばれる長崎市の端島=令和2年9月
「軍艦島」と呼ばれる長崎市の端島=令和2年9月

長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を巡り、政府が1日までに国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会に提出した保全状況報告書の内容が判明した。報告書では、戦時徴用された朝鮮人労働者を巡る日本政府の説明が不十分だとの指摘に対し「誠実に履行している」と説明。朝鮮人労働者に関しては「徴用は全ての日本国民に適用された」と明記し、当時、朝鮮人を同じ日本国民として扱ったことを強調した。

政府関係者によると、報告書は英文で500ページ以上に及び、朝鮮人労働者の説明のほか、軍艦島の護岸整備や他の構成資産の保全状況について報告した。近くユネスコが報告書を公開し、来年の世界遺産委員会で審議される見通し。

報告書では朝鮮人労働者に関して、日本が戦時中、労働力不足に陥っていた状況を指摘した上で「国家総動員法に基づく国民徴用令は全ての日本国民に適用された」と指摘。韓国などで軍艦島をナチス・ドイツの収容所と同列視する主張があることに対しては「ナチスと比較するのは無理がある」とする海外識者の見解などを紹介し、否定した。

また、世界遺産委員会が日本政府の軍艦島をめぐる説明に対し「強い遺憾」を盛り込んだ決議を採択したことについては「真摯に受け止める」と回答。引き続き、出典が明らかな資料や証言に基づき、軍艦島の歴史を次世代に継承していく考えを示した。

政府は報告書の趣旨に沿って、来年3月末までに情報発信の拠点である「産業遺産情報センター」(東京・新宿)の展示内容を変更する。

世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」 長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)など全国8県にある計23施設で構成し、2015年に登録された。これに対し、韓国側は軍艦島に関し「意思に反して厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者がいた」と反発。日本側は犠牲者を記憶にとどめるための措置を取ると約束した。

日本は20年、情報発信の場として東京・新宿に「産業遺産情報センター」を設立した。しかし、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は昨年7月、朝鮮人労働者を巡る説明が不十分として「強い遺憾」を盛り込んだ決議を採択し、今年12月1日までに状況を報告するよう求めた。

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