公明「歯止め」求めず「反撃能力」保有に道筋

公明党の佐藤茂樹議員(左)=9日、国会内(矢島康弘撮影)
公明党の佐藤茂樹議員(左)=9日、国会内(矢島康弘撮影)

自民、公明両党が「反撃能力」の保有に道筋をつけた。従来のミサイル防衛能力だけでは厳しい安全保障環境を乗り切れないとの問題意識が背景にある。過去の安保政策の決定過程では「歯止め」をかけることに腐心した公明も、今回は現実的な議論に徹した。

「抑止力として足らざるところをどうしていくかの議論は極めて大事な段階にきている」

30日の「安保3文書」改定に向けた与党実務者協議で、公明の佐藤茂樹座長代理はこう主張した。会合では反撃能力が武力行使の一環であることや、行使に至るまでの手続きを改めて確認した。

「平和の党」を掲げる公明は、安保政策をめぐり自衛隊の手足を縛ってきた過去がある。

平成27年成立の安保関連法の与党協議では、他国防衛を目的とする集団的自衛権の行使容認に「断固反対」(山口那津男代表)の立場を取った。最終的に、日本と密接な関係にある国への武力攻撃があり、日本の存立が脅かされる場合に限定した。日本に関連する船舶の安全確保を目的に令和元年に閣議決定した海上自衛隊の中東派遣でも、公明の要望により国会報告が義務付けられた。

反撃能力をめぐり、自民側は過度に歯止めを求めてくることを警戒していた。しかし、公明から示されたのは国際法違反となる種類の先制攻撃との混同を避けることや、専守防衛、自衛隊と米軍の役割の堅持などだった。

政府・自民はもとより専守防衛などの方針を変える考えはなかった。岸田文雄首相は30日の参院予算委員会で先制攻撃とならない制度を作る考えを示したが、これも従来の政府方針の範囲内といえる。

武力行使の一環として反撃能力を行使する際、政府は「対処基本方針」の策定や国会承認などの手続きを行う。公明は30日の会合で対処基本方針に反撃能力を行使する理由などを詳細に明記するよう求めたが、自民側は「現実的な意見だ」と胸をなでおろす。

特段の歯止めを求めなかった公明だが、同党の中堅議員は「反撃能力の定義もしつこく確認し、専守防衛との関係も整理した。これを丁寧にやったことが歯止めだ」との考えを示した。(石鍋圭)

会員限定記事会員サービス詳細