中国の江沢民元国家主席は日中間の「歴史戦」の火ぶたを切った指導者として知られる。江氏は歴史問題をカードに位置づけた対日外交を展開し、その影響は現在の日中関係にも禍根を残している。
中国の江沢民・元国家主席が死去 社会主義市場経済を推進 習体制発足を後押し
1989年6月4日、中国は民主化運動を武力弾圧し、多くの若者らが犠牲となった天安門事件が発生した。西側諸国は経済制裁を科し、中国は外交的孤立を招いた。
しかし、日本はいち早く経済制裁を解除し、91年8月に西側の首脳としては事件後初めて海部俊樹首相(当時)が訪中。92年10月には天皇、皇后両陛下(今の上皇さまと上皇后さま)が中国をご訪問された。中国が国際社会に復帰する上で、日本は重要な足掛かりとなった。