<独自>店頭食材狙い窃盗「80件くらいやった」65歳男逮捕

かき小屋飛梅神田西口店で「置き配」された荷物=29日午後、東京都千代田区
かき小屋飛梅神田西口店で「置き配」された荷物=29日午後、東京都千代田区

飲食店前に「置き配」された食材が入った荷物を盗んだとして、警視庁神田署は29日、窃盗の疑いで、東京都文京区の無職、伊能忠弘容疑者(65)を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。伊能容疑者は「今年の春から80件くらいやった」と供述。神田署は、宅配業者が荷物を手渡しせずに玄関前などに置いて届ける「置き配」を狙い、荷物を繰り返し盗んでいたとみて捜査している。

捜査関係者によると、10月7日午前5時ごろ、東京都千代田区内神田の飲食店前に置かれたサンマ約4キロ(時価5600円相当)が入った荷物を盗んだとされる。盗んだ物は自転車の荷台に載せて持ち去っていた。

捜査関係者によると、現場周辺の防犯カメラ映像などから伊能容疑者の関与が浮上。調べに対し、「自分が食べるためにやった」などと供述しているという。

千代田区内では6月以降、飲食店前に置き配された肉や野菜などの食材が盗まれる事件が少なくとも5件確認されているという。神田署は他の事件への関与も調べている。

「置き配」トラブル注意 便利な反面、盗難・破損も

新型コロナウイルスの感染拡大を機に一般にも広まった「置き配」。営業時間外でも配達してもらえるため、店の軒先に食材などを置き配してもらう飲食店は多い。便利な一方で、盗難や破損などのトラブルも少なくない。

「旬のいいサンマを客に出せず悔しかった」。10月、置き配を盗まれる被害に遭った飲食店「かき小屋飛梅神田西口店」を運営する「飛梅」首都圏事業部本部長の高橋忠昌さん(40)はそう語った。

窃盗被害が発生した10月7日朝。宴会のメイン料理として出すサンマの仕込みをしようと調理責任者の男性が早めに出勤したが、肝心のサンマがないことに気付いた。水産業者や配送業者に問い合わせたが、「間違いなく置いた」などと説明された。8年間の営業で初めての出来事に、男性は「まさか盗まれるなんて思っていなかった」と話す。

スーパーでサンマを急遽きゅうきょ)購入したが、仕入れる予定だったものに比べ、小ぶりのものになってしまったという。高橋さんは「いいものを客に出したいと思っていたのに、仕入れとは違うサンマを使うのは客をだましているような気がした」と振り返る。

現在も置き配を継続しているが、配送業者には以前より人目に付きにくいところに置いてもらうようにしてもらった。高橋さんは「盗(と)られたものでも代金を払わないといけないので、こんなことは止めてほしい」と訴える。捜査幹部は「物価高の中、商品を盗むのは非常に悪質だ」とし、ほかの被害についても調べを進めている。


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