主張

電動キックボード 混乱招かぬルール整備を

電動キックボードの利用者が増えている。都市部を中心に、シェアリングサービスの拠点も増えている。旗振り役は経済産業省で、産業競争力強化法に基づく新事業活動と位置づけられ、規制緩和が進められた。

一方で、9月には都内で、電動ボード運転者の死亡事故が発生した。普及を急ぐあまり、安全性が後回しにされてはいないか。ルールの整備が必要である。

電動ボードは道路交通法上「原動機付自転車」に分類される。運転免許が必要で、車道を走り、ヘルメットの着用義務がある。

経産省はレンタル事業者などからヘルメットの着用を任意とするなどの要望を受けて道交法上の特例を設けるよう、国家公安委員会や国土交通省に働きかけた。警察庁による実証実験などの検討を経て、シェアリングサービスの電動ボードは耕運機などと同じ「小型特殊自動車」に分類された。

小型特殊自動車は公道の制限速度が時速15キロ以下で、ヘルメットの着用は任意とされた。だが制限速度の差異はあっても、車道を走行する危険性に変わりはない。現実に9月の事故で死亡した運転者は、シェアリングサービスの電動ボードを使用中で、ヘルメットは着用していなかった。

2通りの異なるルールは利用者の理解を妨げる。レンタルの電動ボードの運転者をみて、自身で購入した電動ボードをヘルメットなしで運転しても構わないと誤解を生んでいないか。酒気帯び運転はもちろん違法だが、その徹底は図られているか。

加えて今年4月には、性能上の最高速度が時速20キロ以下の電動ボードを「特定小型原付自転車」という新たな区分に位置付ける改正道交法が成立した。2年以内に施行される。16歳以上は免許不要で運転することができ、ヘルメットの着用は努力義務とする。原則は車道や自転車専用通行帯を走行するが、時速6キロ以下に制御されていれば歩道上も走行できる。

これがまた、混乱に拍車をかけないか、心配である。

電動ボードは便利で場所も取らない。街中で最近、ひんぱんに見かける電動アシスト自転車のレンタルと比べても、事業者にとっては魅力的な乗り物だろう。だからこそ、運転者や歩行者の安全を確保するルール整備には万全を期すべきである。

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