「仁徳天皇陵の発掘現場を初公開」「テレビカメラが初めて入った」。平成30年、国内最大の仁徳天皇陵古墳(堺市、墳丘長486メートル)で発掘が行われた際、テレビや新聞は大々的に報じた。被葬者は宮内庁のいう16代・仁徳天皇なのか否か。昨年も発掘が行われ、被葬者論争が過熱する。しかし、「天皇陵といっても学生たちはあまりピンと来ていない」との声も。今年3月まで宮内庁陵墓調査官として天皇陵などを発掘し、現在は複数の大学で教壇に立つ徳田誠志・関西大客員教授。天皇陵の意義を若い世代に伝える必要性を感じている。
「皇国史観」の反動の反動?
「初代天皇の名前を聞いても知らない。今の天皇は何代目か尋ねると『50代目ぐらい?』などの答えがかえってくる」。徳田さんは困惑ぎみに話す。初代は神武天皇、現在は126代目にあたる。
日本は万世一系の天皇が統治する神の国と位置付けたのが、戦前の皇国史観。戦後はその反省から、古事記などの神話ではなく史料に基づく実証的な歴史研究が進んだ。一方で、古代以来の歴代天皇について、学校で教えられる機会はめっきり減った。「天皇について教わらない以上、学生が知らないのは無理もない」と徳田さんは話す。