柔の道、寄り添う

「お父さん、もう治ったよ」やさしい嘘と講道館杯 斉藤仁氏の妻

立は12月のGS東京大会に向けて、「今度こそ、絶対に優勝する」と銀メダルだった世界選手権のリベンジに燃えています(編注:本コラム執筆後に斉藤立の大会欠場が発表されましたが原文のまま掲載します)。そんな立を通じて、驚かされたことがあります。

立がトレーニングでお世話になっている国士舘大陸上部の岡田雅次監督の紹介で、立は最近、総合格闘家の桜庭和志さんから指導を受ける機会を得ました。

私が岡田監督にお礼の連絡をすると、「いえいえ、斉藤(仁)先生につないでいただいたご縁ですから」と主人の名前を出されたのです。私が知らないところで、主人はたくさんの人とつながり、縁を結んできていたのでしょう。そんな主人がまいていた種が、立に巡ってきている-。病気と闘い、柔道界に生きた主人の偉大さを改めて実感するとともに、「ありがとう」と感謝の気持ちで胸が熱くなりました。

五輪2連覇の斉藤仁の妻として、パリ五輪を目指す次男・立の母として、斉藤三恵子さんが柔道一家をめぐる話をつづります。

斉藤三恵子(さいとう・みえこ) 1964年、大阪府生まれ、大学卒業後、海外の航空会社に就職。フランスの航空会社で客室乗務員をしていた1993年に斉藤仁氏と出会い、97年に結婚。長男・一郎氏、次男・立の母。


斉藤立(さいとう・たつる) 体重無差別で争う全日本選手権は2019年に史上最年少の17歳1カ月で初出場し、22年に初優勝。男子100キロ超級で18、19年全国高校総体、18年全日本ジュニア体重別選手権優勝。21年のグランドスラム・バクー大会でシニアの国際大会初制覇。男子95キロ超級で五輪2連覇の故斉藤仁氏と三恵子さんの次男。一郎さんは兄。得意技は体落とし、払い腰。東京・国士舘高―国士舘大3年。191センチ、160キロ。20歳。大阪府出身。


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