JR西ローカル線 また全30区間赤字、総額247億円

利用者の減少が進むJR芸備線=今年5月、広島県庄原市(桐原正道撮影)
利用者の減少が進むJR芸備線=今年5月、広島県庄原市(桐原正道撮影)

JR西日本は30日、乗客者数が極めて少ないローカル線17路線30区間の令和元~3年度の平均の収支状況を公表した。本業でもうけられているかを示す営業損益は全区間が赤字となり、赤字総額は247億3千万円だった。また、営業費用に対する運輸収入の割合を示す収支率は28区間で悪化した。新型コロナウイルス禍による利用客減が直撃する中、コスト削減を進めたものの、赤字総額はコロナ禍前の平成29~令和元年度と同水準で、依然厳しい経営状況が浮き彫りとなった。

ローカル線の経営悪化は全国で広がっており、路線の廃止を含む、持続可能なあり方をめぐる鉄道事業者と沿線自治体の協議が求められる。

収支発表の対象は、新型コロナウイルス禍が本格化する前の令和元年度に輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)が2千人未満だった線区。今回の発表で赤字額が最も大きかったのは、島根県内を走る山陰線の出雲市-益田間で35億円。和歌山県内を運行する紀勢線の新宮-白浜間が29億5千万円で続いた。

100円の収入を稼ぐのにいくら費用がかかったかを示す営業係数においては、広島県から岡山県にまたがる芸備線の東城-備後落合間が2万3687円で最も多く、続いて島根県と広島県を結ぶ木次線の出雲横田-備後落合間が7453円だった。

JR西は今年4月に初めて、同じ線区の平成29~令和元年度の収支状況などを公表しており、全区間が赤字だった。今回の赤字額の総額は平成29~令和元年度と比べ6千万円改善したが、ほぼ横ばいだった。

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