【ドーハ=川峯千尋】サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本は1日午後10時(日本時間2日午前4時)から、1次リーグE組最終戦でスペインと対戦する。リベンジの舞台は整った。堂安は感情をたぎらせる。「最高の状況。同じ相手に1年で二度も負けられない」。原則24歳以下(U-24)代表で争った昨夏の東京五輪準決勝で0-1で敗れ、金メダルの夢を砕かれた相手との大一番での再戦。東京五輪組の眼光は鋭い。
昨年8月3日。東京五輪で準決勝まで勝ち上がった日本はスペインの攻撃を粘り強くはね返し、0-0で延長戦へと持ち込んだ。しかし延長後半10分、右サイドを崩され、今大会で10番を背負うアセンシオにゴールをこじ開けられた。
攻撃の中核を担った久保(レアル・ソシエダード)は「死ぬほど悔しいが、出せるものは全部出した。涙も出てこない」と呆然(ぼうぜん)とピッチを見つめた。チームは続く3位決定戦もメキシコに敗れ、1968年メキシコ五輪以来のメダルに届かなかった。
あれから約1年4カ月。五輪組の成長は目覚ましかった。W杯アジア最終予選では田中(デュッセルドルフ)や三笘(みとま)(ブライトン)がヒーローに。久保はスペイン1部で3位のクラブで堂々主力を張る。「五輪で負けた悔しさを忘れずにここまで来た」と板倉。W杯には代表26人のうち、オーバーエージの3人を含め12人が食い込んだ。
一方、スペインも守護神シモンや司令塔のペドリら7人が五輪に続きメンバー入り。田中は「完全に受け身になってチャンスがこない試合で勝つのは難しい。五輪の二の舞にはなりたくない」。昨夏の120分の反省を生かすときが来た。
「借りを返そう」。相馬によると、五輪世代の選手は合言葉のように口にしているという。生きるか死ぬかの最終戦。板倉は「ここでまたスペインと対戦できるって、いいストーリー」と強気に笑う。今度こそ、高い壁を乗り越える。