「とにかくワンマンだった」。ねずみ講式の会員システム「みんなのたまご倶楽部」を構築したなどとして無限連鎖講防止法違反容疑で警視庁生活経済課に逮捕された峯岸正治容疑者について、元会員の男性はこう説明する。
高齢者らを集めてセミナーを開催し、年金などの不安をあおり、自らのペースに引きずり込む術にたけていたとされる峯岸容疑者。雑誌のインタビューでは、かつてクラブやコンパニオンの派遣会社を経営していたとし、警視庁に出資金の詐欺事件で摘発された男に師事して手法を学んだと説明していた。「金もうけの天才」と自負し、自分の交流サイト(SNS)では都心の一等地のタワーマンションに住んでいることを自慢していた。
「あの世に1万円を持っていったって仕方がねぇだろう」「60年も70年も生きていて、そんなことも知らないんですか」
セミナーでの毒舌交じりの巧みな話術は、「漫談」を聞いているかのようだったといい、多くの高齢者らをひきつけた。そのセミナーは録音可にし、何度も繰り返し聞くことを促していたこともあったとされる。
元会員は「まるでマインドコントロールだった。人たらしだったが、高齢者を標的にすることをいとわない冷徹さもあった」と話していた。