朝晴れエッセー

ピカピカの65歳・11月29日

人生は面白い。この年で小学校に入学するなんて思いもしなかった。

65歳の小学校生活は、「紀州かつらぎ熱中小学校1期生募集」という偶然目にした1枚の新聞の折り込みチラシから始まった。地方では出会えないような各分野で活躍している講師の方々の授業が受けられ、自分たちで創っていく小学校。「もういちど7歳の目で世界を」「一番目に大事なことは、楽しいこと」などの言葉に心が揺さぶられた。

突然目の前に現れたこの扉を開けば、見たこともない広い世界につながるような気がして、なにより面白そう。年齢制限なし、入試もなしで、めでたく入学することができた。

入学式当日、「起立、礼!」。何十年かぶりの掛け声に心が引き締まる。ホームルーム、クラブ活動の説明と、なんとも懐かしい言葉が続く。「皆さんは今ピカピカの1年生です」。校長先生のあいさつを聞きながら、私は、小学生だった自分を思い出していた。誰も信じてくれないが、引っ込み思案だった私は、優等生の子たちが先生と楽しそうに話しているのをいつもうらやましく眺めていたっけ。

これまでいろんな出来事があったけれど、今自分のしたいことができる環境にあることに感謝しながら純粋な目で学びたい。好奇心旺盛なおばさんは、目下どのクラブに入ろうか思案中です。


永山郁子(65) 和歌山県紀の川市

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