「生命軽視の度合い高い」父と弟殺害の48歳女に無期懲役、極刑は回避 大阪地裁

足立朱美被告
足立朱美被告

堺市で平成30年、インスリン製剤を投与して父親を、練炭自殺を装って弟を殺害したとして、殺人罪などに問われた無職、足立朱美被告(48)に対する裁判員裁判の判決公判が29日、大阪地裁で開かれた。坂口裕俊裁判長は「生命軽視の度合いが高く、結果は重大」として無期懲役(求刑死刑)を言い渡した。

弁護側は無罪を主張し、足立被告は認否を黙秘していた。坂口裁判長は、間接証拠から足立被告が2人を殺害したと認めたものの、ほかの死刑判決事案と悪質性を比較して極刑を回避した。

判決理由で、父親の富夫さん=当時(67)=は低血糖脳症によって誤嚥性肺炎を引き起こし、摂取する栄養量の低下につながったとして、インスリン投与と死亡との因果関係を認定。弁護側の「がんによる病死」との主張を退けた。

また、足立被告が「低血糖死亡」と検索していたことなどを踏まえ、「殺意を持って投与したことは間違いない」とした。

弟の聖光(まさみつ)さん=当時(40)=については、足立被告が事前に練炭を購入し、遺体から検出された睡眠薬の成分も被告が処方されていたものと一致すると指摘。富夫さんへのインスリン投与をほのめかす聖光さん名義の「遺書」が見つかったが、パソコンの使用履歴などから文書を作成したのは足立被告と判断し、「犯行の責任をなすりつけるために自殺に見せかけて殺害した」と批判した。

量刑については、聖光さん殺害を「動機は自己中心的」と指弾。一方、富夫さんはがんによる衰弱とあいまって死亡しており、「ほかの死刑事案と比べて非難の程度は劣る」とし、無期懲役が相当とした。

判決によると、30年1月、堺市中区の実家で、富夫さんに多量のインスリン製剤を投与し、同年6月に死亡させた。同年3月には、聖光さんを睡眠薬で眠らせた上でトイレ内で練炭を燃焼させて一酸化炭素中毒により殺害した。

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