【シンガポール=森浩】クーデターで実権を握ったミャンマー国軍がロシアと急速に接近している。原子力発電技術に関する協力で合意し、国軍はロシアの決済システム導入も検討している。軍事クーデターを起こした国軍とウクライナ侵略を続けるロシアに対しては欧米諸国が相次いで経済制裁を発動。ともに国際的孤立が深まる中、関係の緊密化が進んでいる形だ。
「ロシアは数少ない友好国の一つであると感じている」。国軍トップのミンアウンフライン総司令官は9月、ロシア・ウラジオストクでプーチン大統領と会談した際、こう述べてロシアへの親近感を隠さなかった。ミンアウンフライン総司令官の訪露は昨年2月のクーデター以降、3回目。プーチン氏を「世界の指導者」と手放しで称賛した。
ロシア側もラブロフ外相が8月にミャンマーを訪れ、「(国軍による)情勢安定化を目指す取り組みに連帯する」と述べ、国軍が展開する民主派の弾圧を支持する姿勢を見せた。ロシアはクーデター後に樹立された国軍政権を正式な政府として承認している。