藤井聡太さんは多くのタイトルを持つ棋士だが、つい「藤井クン」と呼んでしまう。専門家として確立しているのに、若者の持つ初々しさを失っていないところにひかれる。
専門家はその専門で評価されるのはもちろんだ。でも誰だって専門家であると同時に日常を生きる人間だ。専門と日常が重なっていれば、専門バカにならず、一人の人間としての判断ができる。藤井さんは自然にそれができている。
他人と競争をしていないところも好ましい。米大リーグで活躍する大谷翔平さんも同じだ。「誰かに勝ちたい」「1位になりたい」ではなく、藤井さんは将棋を、大谷さんは野球を本当に好きで、その大好きなものにある理想にいかに近づけるかに挑んでいる。