令和2年は新型コロナウイルス禍の真っ最中だった。4月から5月にかけて全国的に緊急事態宣言が発出され外出自粛が広がり、将棋界も東西移動を要する対局が延期された。
3月31日に第91期ヒューリック杯棋聖戦の決勝トーナメント準決勝進出を決めていた藤井聡太(20)も対局がストップ。やっと6月2日に行われた準決勝で佐藤天彦を、同4日の挑戦者決定戦で永瀬拓矢を破り、史上最年少でタイトル挑戦を決めた。
終局後の記者会見で「コロナ禍をどう過ごしていたか」と聞かれた藤井はサラリと答えた。「2カ月間、対局ができませんでしたが、自分の将棋と向き合うことができました」