【ソウル=時吉達也】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、日本政府が防衛予算の増額を検討していることについて、「日本列島の上空を北朝鮮のミサイルが飛んでいくのに、国防費を増額せずに放置するわけにはいかなかったのではないか」と述べ、理解を示した。大統領府が29日、ロイター通信による尹氏とのインタビューの内容を公表した。
日本の防衛力強化に理解を示した尹氏の発言をめぐり、韓国の左派系メディアからは「『日本が平和憲法の精神を守らなければならない』という従来の韓国政府の立場に反する」との批判も出ている。
一方、ロイターと大統領府によると、尹氏はインタビューで、北朝鮮が7回目の核実験を強行した場合には「前例のない」水準の対抗措置に踏み切ると警告した。具体的な措置の内容は言及を控えた。
また、「北朝鮮を非核化に導くため、最善の努力を傾けることが中国にも有益だろう」と述べ、北朝鮮への働きかけを強めるよう中国政府に求めた。中国が北朝鮮に影響力を発揮するのが、国連安全保障理事会の常任理事国としての「責務だ」との認識も示した。