林外相、中国「海外派出所」に懸念伝達「主権侵害認めない」

北京市中心部で中国の厳格な新型コロナ対策に抗議する市民を警戒する大量の警官ら=28日未明(共同)
北京市中心部で中国の厳格な新型コロナ対策に抗議する市民を警戒する大量の警官ら=28日未明(共同)

林芳正外相は29日の記者会見で、中国警察が日本を含む国外に展開する「海外派出所」について、外交ルートを通じて中国政府に懸念を伝えたことを明らかにした。「仮にわが国の主権を侵害するような活動が行われているということであれば、断じて認められない旨の申し入れを行っている」と述べ、関係省庁とも連携して対応する考えを示した。

海外派出所は中国の公安当局が在外中国人向けに設けた組織で、日本や欧州、アジアなど30カ所の連絡先リストが中国メディアを通じ公表されている。スペインの人権団体が9月、反体制派の亡命中国人を監視し、帰国を迫る拠点になっていると報告書で指摘し、閉鎖要求や実態調査に乗り出す国が相次いでいる。

日本外務省によれば、スペインの人権団体による報告書発表後に中国に懸念を伝え、中国側は「独自の説明」を行ったという。中国外務省報道官は10月末の記者会見で「在外中国人を助けるサービスセンターに過ぎない」と主張しており、日本側にも同様の説明を行ったとみられる。

日本政府が仮定の事案について「断じて認められない」と牽制(けんせい)したことを明らかにするのは異例。中国司法の出先機関が日本国内で活動を行えば、日本の主権侵害に当たることから、強硬な姿勢を示したとみられる。

中国では新型コロナウイルス禍で国民に厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策に反対する動きが各地に広がり、習近平国家主席の退陣を求める異例のデモが発生。デモは日本在住の中国人にも広がっているとされ、中国当局の監視対象になる可能性がある。外務省幹部は派出所について「実態はよく分からないが、先進7カ国(G7)で『あれはひどい』と主張する国もあり、根拠がない話ではない」と述べ、動向を注視する考えを示した。(広池慶一)

国外の反体制派弾圧拠点か 中国「海外派出所」の謎

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