SL「C56」復活へ 大井川鉄道が30日までクラウドファンディング、台風被害乗り越え

大井川鉄道の新金谷駅に入線した蒸気機関車C56形135号機(大井川鉄道提供)
大井川鉄道の新金谷駅に入線した蒸気機関車C56形135号機(大井川鉄道提供)

大井川鉄道(静岡県島田市)が、戦前に製造された蒸気機関車(SL)「C56形135号機」の復活運転を目指し、広く資金提供を募るクラウドファンディング(CF)を11月30日まで実施している。大井川鉄道は9月の台風15号による被災で運休を余儀なくされているが、全国から応援の声が寄せられているといい、「皆さんの期待に応えて成功させたい」と意気込んでいる。

20年ぶりのSL「動態化」

昭和に活躍したSLを観光列車として復活させ、鉄道文化を継承してきた大井川鉄道。廃車となり、「静態保存」されていた機関車を再び走行できるように「動態化」する試みは、2001年から03年にかけて行った「C11形190号機」以来、約20年ぶりとなる。

今回の「C56形135号機」は、1938(昭和13)年製造。旧国鉄の出水機関区(鹿児島県)に配置され、その後、宮崎機関区で貨物列車の牽引などで活躍した。1975(昭和50)年から兵庫県滝野町(現在の加東市)の県立播磨中央公園で屋外展示されていた。

劣化が進んで解体の方針が立てられていたが、大井川鉄道は2025(令和7)年に迎える創立100周年のプロジェクトとして、動態化を決め、車両を譲り受けた。同鉄道が観光列車として運行しているSL「かわね路号」の一翼を担うことも期待されている。

宮崎機関区でのC56形135号機=1972年、2月24日(RGG提供)
宮崎機関区でのC56形135号機=1972年、2月24日(RGG提供)

蒸気をつくるSLの〝心臓部〟ボイラーの修繕などを担当する東海汽缶の業務統括部長、石川寛之さん(53)は、20年前の「C11形190号機」の修繕にも携わった。その時、SLの構造に触れて「手作業なのに精密で、機械に勝る技術があった」と驚いたといい、「技術を継承して未来に伝えていきたい」と意気込む。

「少しでも多く、皆さんの力を」

プロジェクトの総費用は3億円。そのうち1億円の支援を募っており、25年の完成を目指す。残り1日となった29日正午時点で、約半分の5170万円が集まっている。大井川鉄道広報の山本豊福さん(57)によると、目標金額の1億円に到達しなくても、同鉄道が補填して動態化は進めるというが、「少しでも多く、皆さんの力をいただきたい」と支援を呼び掛けた。

大井川鉄道は、9月の台風15号による土砂崩れや倒木で全面運休となり、今も大井川本線は列車が走っていないが、12月16日から金谷―家山間で運行再開することが決定した。新型コロナウイルスの影響による乗客減と台風による被災は同鉄道にとって大きな打撃だった。そんな苦境の中で挑戦する「C56形135号機」の復活。山本さんは、「SL運転の先駆者として誇りがあり、成功させたい」と力を込めた。(本江希望)

新金谷駅に搬入されるC56形135号機=2月12日(大井川鉄道提供)
新金谷駅に搬入されるC56形135号機=2月12日(大井川鉄道提供)



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