中国、抗議デモ封じ強硬 学生の早期帰省も指示

中国の「ゼロコロナ」政策に反対する抗議行動が起こった北京市中心部を警戒する治安当局者ら=28日(共同)
中国の「ゼロコロナ」政策に反対する抗議行動が起こった北京市中心部を警戒する治安当局者ら=28日(共同)

【北京=三塚聖平】中国で厳しい行動制限を強いる「ゼロコロナ」政策への抗議デモが拡大し、習近平政権は警察力を動員し、政府批判を封じる方針を鮮明にした。北京市内で28日夜、抗議の呼び掛けがあった地域一帯に大量の警官を配置し、デモを不発に終わらせた。参加者の一部が公然と「ご法度」である習政権への批判を行ったため、当局は態度を一気に硬化させている。

28日夜、交流サイト(SNS)で「抗議活動を行う」という呼びかけがあった北京市海淀(かいでん)区の学生街に抗議者の姿はなかった。歩道には数十メートル間隔で制服警官が並び、大通り沿いに100台以上とみられる警察車両が停車。警察側は事前に察知したとみられ、SNSには「警察が多くて(路上で)止まることもできない」との記載がみられた。

27日夜から28日未明に抗議活動が行われた北京市朝陽区の日本大使館に近い地域でも29日昼、多数の警官が通行人ににらみをきかせていた。市内各所でも普段よりパトカーや警官の姿が目立ち、北京在住の日本人は「警察は、抗議封じ込めに本気を出したようだ」と話す。北京以外の主要都市でも警察が増え、抗議活動ができなくなったという情報がある。

上海では「習近平退陣」や「共産党退陣」といったスローガンが掲げられ、当局側は看過できなくなっている。抗議側も警戒を高める当局の動向を注意しているとみられ、SNSで「不必要な流血をもたらす」として政治批判を避けるよう呼びかける投稿もあった。

当局は1989年の天安門事件で中心的な役割を担った学生を警戒。米政府系のラジオ自由アジア(RFA)によると、中国教育省が全国の大学幹部を緊急招集し、抗議活動を抑えるため学生の帰省を早めることなどを指示したという。

医療体制の不足などによりゼロコロナ政策の本格的な緩和が難しい中、庶民の高まる不満を前に習政権は苦慮しているもようだ。中国の公衆衛生当局は29日の記者会見で、感染対策について「最大限に人民の利益を守り、コロナ禍が経済、社会に与える影響を減らしてきた」と主張した。

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