中国ゼロコロナ抗議 「自分たちも抑圧」気づく 東京大・阿古智子教授

東京大学の阿古智子教授
東京大学の阿古智子教授

東京大学の阿古智子教授は28日、産経新聞との取材に応じ、中国各地で起きている政府への抗議デモについて、「自分たちも抑圧されていることに気づいている」などと指摘した。主な見解は以下の通り。

中国各地に広がった「ゼロコロナ」政策への抗議活動からは、たまっていた民衆の不満が臨界点に達した様子が見て取れる。強権的な新型コロナウイルス対応で、落とさなくてもいい命を落とした人や不況に悩む人も少なくない。苦しむ人々の声を言論統制でかき消してしまう国のやり方に疑問を持ち、「このまま奴隷になってはいけない」と思い始めたのだろう。

今は若者の失業率も高く、就職先も見つからないなど希望が見いだしづらい状況だ。3期目入りした習近平指導部もイエスマンばかりで、成果と誇るゼロコロナも「失敗」とは認められない。サッカー・ワールドカップでノーマスクの観客などを見て、自分たちを苦しめる政策が今後も続くことへの絶望感が爆発した。

中国では監視カメラも多い公の場での抗議は拘束リスクもあるが、今回のデモは人数も多い。当局の封鎖が被害を広げた新疆(しんきょう)ウイグル自治区の火災が、交流サイト(SNS)で拡散したことなどで政策の問題に気づき、「人が多ければ特定されにくい」との意識も手伝い、勇気をもって参加した人も多いのではないか。

言論統制に対する批判の象徴である白紙を掲げて抗議する姿もあったが、民主化デモが広がった香港でみられた抗議手法だ。新疆や香港の問題で目をつぶっていた人々が、「自分たちも抑圧されている」と気づき始めたのかもしれない。

これだけ表立った批判は習指導部発足後で初めてではないか。「天安門事件の再来」となるかは分からないが、今後、大きなうねりにつながる可能性もある。しばらく混乱状態が続きそうだ。(聞き手 桑村朋)

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