いわずと知れた違法薬物の大麻を巡り、政府内で活発な動きが出ている。厚生労働省の専門家委員会は9月、大麻から抽出した成分を含む医薬品について、安全性と有効性が確認されたものは国内での使用を可能にするとの報告書を取りまとめた。その一方、現行法では規定のない「使用罪」の追加も打ち出した。
厚労省は、早ければ来年の通常国会に大麻取締法の改正案を提出する方針。医療活用と厳罰化という〝アメとムチ〟により、大麻を取り巻く環境は大きく変わることになりそうだ。
日本では古くから衣服や漁具、しめ縄などに大麻が使われてきた。戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の指令を受ける形で栽培は全面禁止に。昭和23年、国内の栽培農家を保護するため現行の大麻取締法が制定され、許可を受けた者だけが取り扱える免許制度が創設された。専門家委員会の報告書によると、令和3年末時点での免許付与者はわずか27人となっている。