平成24年、胆管がん問題の〝震源地〟となった大阪市中央区の「SANYO(サンヨー)―CYP(シーワィピー)」という印刷会社を覚えているだろうか。26年に法人と創業者の山村悳唯(とくゆき)前社長が労働安全衛生法違反罪で略式起訴となり、被害者や遺族と示談が成立して事件は決着。その後、経営を継いだ創業者の次男、健司社長(45)が産経新聞の取材に応じ「不安で逃げたかった」と当時の心境を語った。会社清算も選択肢として浮上したが、新たに発症者が出たときに補償や治療の手助けができる財務的な備えを持つ責任があると存続を決断。そして今も再発防止に向け職場環境の改善を続ける。
「規制ないから安全」は間違い
「何が起きているか理解できなかった」
胆管がんを発症する従業員らが相次いでいると一報を受けた24年当時、取締役だった山村健司社長はこう打ち明ける。