首相「必要論」に軍配 「財源ありき」の削減論否定 防衛費GDP比2%指示

衆院予算委で答弁のため挙手する岸田首相=28日午前
衆院予算委で答弁のため挙手する岸田首相=28日午前

岸田文雄首相は28日、鈴木俊一財務相と浜田靖一防衛相に対し、防衛費について、補完する経費も合わせて対国内総生産(GDP)比2%に達する予算措置を指示するとともに、防衛費の「真水」に当たる中期防衛力整備計画(中期防)の関連経費については「財源ありき」の削減論を否定した。今後5年間の所要防衛力整備を求める防衛省の「必要論」に軍配を上げた形だ。

「財源がないからできないということではなく、さまざまな工夫をしたうえで、必要な内容を迅速に、しっかり確保する」

首相は官邸に鈴木、浜田両氏を呼び、こう指示した。来年度から5年間の中期防経費に関し、防衛省は約48兆円が必要としているが、財務省は財源不足を理由に当初は33兆円を主張。その後も30兆円台半ばで譲らず、膠着(こうちゃく)状態が続いていた。

首相の指示は、「財源ありき」ではなく、必要な防衛力を整備する観点から早期決着を求めた形だ。一方で、防衛費確保に関し、「さまざまな工夫」も求めた。48兆円のうち、無駄を省き、節減できる経費は節減するよう指示したことを意味する。

首相がこのタイミングで指示を出したのは、財源をめぐる与党協議の時間を確保するためには、政府内で中期防経費の総額を早期にまとめる必要があったからだ。首相官邸は12月上旬までに中期防経費をまとめ、財源について、与党と協議のうえで「政治決着」する道筋を描く。

首相は休日の23、27日に自民党の茂木敏充幹事長と面会。24日に麻生太郎副総裁、25日には萩生田光一政調会長らとも相次ぎ面会している。各氏に防衛費について「首相の決断」(首相周辺)を説明したという。

ただ、防衛省が求める「5年間で48兆円」の満額を認めても、自民党が求めるGDP2%の防衛費は確保できない。このため、首相は海上保安庁予算やインフラ整備、研究開発費など「防衛費を補完する取り組み」を合わせて令和9年度にGDP2%を達成するよう求めた。

とはいえ、自民党は「真水」にあたる防衛費だけでのGDP2%を求めてきた。政府が中期防経費で必要な予算が確保されたことを説明できなければ、海保予算などで防衛費を「水増し」したとの批判を招きかねない。(杉本康士)

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