柔道ファン層拡大へ「やわらか路線」 芸人、声優とコラボも

公式ユーチューブ番組で、日本男子の鈴木桂治監督(中央下)を投げるお笑い芸人のなかやまきんに君(全柔連提供)
公式ユーチューブ番組で、日本男子の鈴木桂治監督(中央下)を投げるお笑い芸人のなかやまきんに君(全柔連提供)

柔道の国際大会「グランドスラム(GS)東京大会」(12月3、4日、東京体育館)を前に、全日本柔道連盟(全柔連)が、公式ユーチューブ番組「全柔連TV」などを活用し、新たな競技ファン層の掘り起こしを狙う。従来の大会観戦などは競技経験者ら「コア層」が中心だったが、スポーツ観戦を好む「ライト層」に焦点を当てたプロモーション活動を展開する。

全柔連TVでは11月中旬の回で、お笑い芸人のなかやまきんに君が、今夏の世界選手権女子48キロ級優勝の角田夏実(了徳寺大職)や同男子100キロ超級銀の斉藤立(たつる、国士館大)を相手に柔道体験。日本男子の鈴木桂治監督を習得したばかりの大腰で投げるなどした。バラエティー色も押し出し、視聴回数はすでに6万を超える。

ユーチューブ番組「全柔連TV」では、お笑い芸人とのコラボ企画などでライト層の取り込みを目指す(全日本柔道連盟提供)
ユーチューブ番組「全柔連TV」では、お笑い芸人とのコラボ企画などでライト層の取り込みを目指す(全日本柔道連盟提供)

担当者は「柔道はこれまで格式高く、伝統的との印象が強かった。本来は柔道の良い面がライト層には敷居の高さを感じさせてしまっていた面もある。そういうイメージを払拭するための企画でもある」と話す。

日本柔道は昨夏の東京五輪で男女で史上最多7個の金メダルを獲得。日本勢のメダルラッシュの立役者となった。しかし、競技への注目度はなかなか高まらず、関係者は危機感を募らせていた。

足元で、国内の競技者人口の減少傾向が続く。2006年は20万人いたが、21年は約12万2千人。小学生年代はほぼ半減した。

全柔連は東京五輪後、ブランディング戦略推進特別委員会を立ち上げ、日本男子の監督を務めた井上康生氏がトップに就任。コアなファン層とは別に「ライト層」の取り込みへとかじを切った。

GS東京大会への観戦客増加を直近の目標に定め、全柔連TVでは、東京五輪女子52キロ級金の阿部詩(うた、日体大)とアニメ放映もスタートした柔道の人気漫画「もういっぽん!」で主人公役の声優、伊藤彩沙さんの対談番組が実現した。

また、大手精密機器メーカー、キヤノンの技術によって、五輪金メダリストの動きを立体的に視聴できる動画も配信。男子100キロ級のウルフ・アロン(了徳寺大職)と同73キロ級2連覇の大野将平(旭化成)が登場し、それぞれが得意な大外刈りや内股を披露している。

全柔連の担当者は「競技の普及はすべての土台。柔道の間口を広げていきたい」と話している。(運動部 田中充)

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