主張

ウェブテスト不正 「替え玉就活」は許されぬ

企業の採用試験でパソコンを利用して行う「ウェブテスト」をめぐる不正が摘発された。

警視庁サイバー犯罪対策課は、本人に成りすまして解答を代行していた会社員の男を逮捕し、依頼した女子大学生を書類送検した。パソコンの電子データなどに対する刑法の私電磁的記録不正作出・同供用容疑が適用された。

ネット時代の今、かねてこうした「替え玉就活」の横行が指摘されていた。明らかな違法行為だと認識すべきだ。詳しい解明を通して、再発防止を図ってほしい。

ウェブテストはパソコン上で解答する能力試験だ。計算や図表の読み取り、英語のほか、性格テストなどもある。

逮捕された男は京大大学院を修了し、関西電力に勤務していた。ツイッターでウェブテストを「代行します」などと募集し、今年1~7月に就職活動中の学生ら約300人から請け負っていたという。延べ約1千社のテストを代行し、計約400万円の売り上げがあったとみられる。

ウェブテストではパソコンの内蔵カメラで、受験の様子を監視するなどの不正防止対策がある。しかし、パソコン上でテスト問題の画面を共有し、ワイヤレスイヤホンを通し、解答を伝えるなどの手口で監視を逃れていた。

ウェブテストは事務処理能力や職業適性などが測れるとされ、企業は外部業者が開発したものを利用している。新型コロナウイルス禍への対応上、受験者が自宅などからリモートで答えを入力できる利点もあり導入が増えている。

一方で多くの受験者がいる企業では、手間のかかる対面の面接などを前に、こうしたテストでふるいにかけている実態もある。

企業が社外テストに頼り、受験者は替え玉に頼る。ネット時代の就活の危うさが今回の摘発で浮き彫りになったともいえる。丁寧な採用活動が優れた人材を得る王道であることはいうまでもない。

男は「小遣い稼ぎで始めた。就活生に感謝され、やりがいを感じた」というが、やりがいは真面目に仕事をしてこそ見いだせる。

女子学生が「ウェブテストを突破できず、不採用が続き、ツイッターで検索して依頼した」というのも安易だ。自らの適性や能力から目を背け不正に就職すれば、道に外れ、仕事が合わず悩むことにもなりかねないと知るべきだ。

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