〈あきつしま/しきしま/つがる/いず/ざおう〉〈むらくも/はやなみ/やまざくら/よど〉。風流な古歌の調べかと思えば、さにあらず。これらは海上にあってわが国を警備する船の名という。
▼海上保安庁の巡視船や巡視艇である。命名のルールを、同庁のウェブサイトで知った。外洋で活動する巡視船は「日本国の古い呼称(秋津洲(あきつしま)、敷島)・海峡(津軽)・半島(伊豆)・山(蔵王)」など、沿岸警備や海難救助を担う巡視艇は「雲・波・花」などから名づけるという。400近い船艇が11の管区に分かれて、昼夜、波立つ海に警戒の目を光らせている。
▼旺盛な働きを期待できるのは、比較的大型の巡視船や小型の巡視艇で20~25年だが、修繕などにより退役を先延ばしする船艇は少なくないという。約240隻ある巡視艇は、半数近くが今年度末で耐用年数を超える見込みだと、小紙の記事が伝えていた。代替船を造るための予算措置も、追い付いていないというから穏やかでない。