岸田派が獅子身中の虫に 引き締め狙うも

岸田文雄首相(自民党総裁)が会長を務める岸田派(宏池会、43人)が、総裁派閥でありながら政権の獅子身中の虫になっている。葉梨康弘前法相は失言で、寺田稔前総務相は「政治とカネ」問題で辞任した。首相の判断の遅れが傷口を広げたとみる向きは多い。伝統的に政策には強いが政局に弱いとして「お公家集団」と揶揄(やゆ)されてきた派閥の特徴を地で行っているようだ。

「私の政権運営の基本は信頼と共感だ。国会開会中の閣僚辞任は誠に遺憾なことであり、任命責任を重く受け止めている」

首相は25日の衆院予算委で、第2次岸田改造内閣の葉梨、寺田両氏ら3閣僚が辞任したことについて、こう語った。

岸田政権発足以降、岸田派議員によって「信頼と共感」とは程遠い言動が続いた。

皮切りは現在は無所属の吉川赳衆院議員だ。6月、18歳の女性に飲酒させたなどとして自民を離党した。与野党から議員辞職を求める声があったが、首相は吉川氏に鈴をつけなかった。

葉梨氏は今月9日、都内で開かれた岸田派議員のパーティーでの死刑をめぐる発言を受けて11日に辞任した。10日に記者団に囲まれた際に「(紙が)読めない」と話して、ICレコーダーを持った記者の手を払いのける場面もみられた。

寺田氏は、関連団体の政治資金収支報告書に次々と問題が浮上し、説明に追われた。辞任論が広がる中でも18日の記者会見で「地元からは『説明に感心した』という声しか聞いていない」と言い放った。

葉梨、寺田両氏はともに東大法学部出身の官僚だった。自民の閣僚経験者は「岸田派所属議員はインテリが目立つ。首相を下に見ており、本気で支えていないのではないか」と語った。

首相の判断も裏目に出続けた。安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)に関しては、首相の実施表明前に国会への説明がなかったことに、萩生田光一政調会長が苦言を呈した。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で辞任した山際大志郎前経済再生担当相は、8月の内閣改造で交代させていればここまで炎上しなかったのは疑いがない。

岸田派の座長を務める林芳正外相は24日の派閥会合で「宏池会が居住まいを正して、首相を支え一致団結して厳しい状況を乗り越えていかなければならない」と危機感を示した。(沢田大典)

岸田内閣支持率は最低の33%

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