中国警察が国外に展開する「海外派出所」に対し、米欧各国が警戒を強めている。スペインの人権団体が9月、反体制派の亡命中国人を監視し、帰国を迫る拠点になっていると報告書で指摘したことが契機となった。オランダやアイルランドは、国内の「派出所」に閉鎖を要求。実態調査を表明する国も相次ぐ。(オランダ・ハーグ 三井美奈)
「中国に戻れ」
ハーグ在住で中国人の民主活動家、王靖渝さん(21)は「ロッテルダムの『海外派出所』から2月以降、何百回も電話があった。『中国に戻れ』『両親がどうなるか分かっているのか』と脅された」と証言する。今月初めには「お前を殺す」「ドイツからそちらに向かっている」と通告され、生きた心地がしなかった。