ウクライナ、冬前に深まる電力危機 露攻撃で復旧いたちごっこ

23日にロシアのミサイル攻撃を受けたウクライナの首都キーウ近郊ビシュゴロドに設置された避難センター=24日、大内清撮影
23日にロシアのミサイル攻撃を受けたウクライナの首都キーウ近郊ビシュゴロドに設置された避難センター=24日、大内清撮影

【キーウ=大内清】ロシアに侵略されるウクライナで、市民生活の生命線である電力を維持するための闘いが続いている。電力インフラを狙った露軍のミサイル攻撃で、これまでに高電圧送電施設などの55~70%が損傷。市民の大半が長時間の停電を強いられる状況だ。ウクライナのゼレンスキー大統領は国連安全保障理事会に対し、民政施設を破壊し極寒の冬に暖房を使えない状況に追い込もうとする露軍の作戦は「人道に対する罪」と訴えている。

ゼレンスキー氏は25日のビデオ声明で、電力インフラを標的とした露軍による23日の大規模ミサイル攻撃により、なお600万人の国民が電力供給を受けられていないと指摘。ウクライナ国営電力企業ウクルエネルゴは25日、同日夜時点で電力需要の3割が依然不足していると明らかにした。

ウクライナではすでに電力需給が逼迫(ひっぱく)し計画停電が行われているが、23日のミサイル攻撃を受けて「ブラックアウト(全域停電)」が発生。広範囲で断水も起き、インターネットが極度に不安定となるなど、生活全般に甚大な影響が出た。

25日に首都キーウ(キエフ)で記者会見した同国エネルギー産業研究所のハルチェンコ所長によれば、発生から10~11時間で一応はブラックアウト状態から脱したが、通常の計画停電に復帰するまでには数日から1週間程度が必要という。

しかし、ロシアは10月上旬以降、ほぼ週1回のペースでインフラ施設を狙ったミサイル攻撃を繰り返しており、復旧作業はいたちごっこの状況。寒さが厳しさを増す中で今後は作業が一層困難になるのは確実だ。

23日の攻撃を受けてウクライナ政府は、電力が行き届かない市民が食事や暖をとったりスマートフォンを充電したりできる救護センターを数千カ所に設置。ミサイルが着弾し市民7人が死亡、約30人が負傷したキーウ郊外ビシュゴロドにある同センターで支援物資の配布にあたっていた女性市議会議員は「ブラックアウトが起きても絶対に凍死者を出さないという気持ちでみなが支え合っている」と話した。

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