主張

教団に質問権行使 違法行為の確認作業急げ

政府は、高額献金などが社会問題になっている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、宗教法人法に基づく初の「質問権」行使による調査を始めた。

回答の期限は12月9日で、組織運営や財産・収支について詳しい報告を求めている。意思決定の仕組みや、資金の流れを把握する狙いがある。違法行為の「組織性、悪質性、継続性」の3要素が確認できれば、裁判所への解散請求に踏み切る方針だ。

調査には警察捜査のような強制力はなく、教団側の同意がなければ立ち入り調査もできない。限られた手段の中でも調査を徹底し、活動実態を解明してほしい。

回答に不十分な点があればもちろんのこと、回答が返ってくる前であっても、必要に応じて追加質問を実施すべきである。文書でのやりとりでは限界もある。対面による質問も当然行うべきだ。

教団側によると、質問の文書は届いたが、裁判になった事例や被害への対応などに関する質問はなかったという。旧統一教会の組織的不法行為や法的責任を認定した民事判決22件(損害賠償額計14億円以上)の精査が、組織性など3要素を確認する上で欠かせないのは言うまでもない。

調査権の行使は前例がなく、手探りの部分もあるだろう。それでも被害の大きさや広がりを考えれば、解散請求を巡る判断に時間をかけてはならない。

解散請求をした場合、教団側は最高裁まで争うことが想定され、そうなれば結論が出るまでに時間がかかる。地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教は、解散請求から最高裁で解散が確定するまで約7カ月、霊視商法詐欺事件で幹部らが摘発された明覚寺(和歌山県)では約3年かかった。

永岡桂子文部科学相は「情報収集の途中であっても、解散命令を請求するに足る事実を把握した場合には速やかに請求することを検討する」と語っている。政府の意思を速やかに示すべきである。

一方、被害者救済に向けた新法についても、与野党は合意を急がねばならない。立憲民主党などはマインドコントロール下での寄付の規制を求めているが、マインドコントロールを定義するのは、やはり難しい。法律を柔軟に運用することで、幅広く救済する方法もあろう。来年の通常国会に持ち越すことがあってはならない。

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