受験生共通の「悩み」に、河合塾が新ツールで「最適解」  学習計画、生活指導 生徒と伴走するチューターのサポート力が「急激に深化」

まもなく師走。迫り来る大学入試に向け、英単語や数学の公式を黙々と暗記し、志望校の過去問を必死にこなす受験生も多いだろう。しかし、自己流で闇雲な猛勉強は、必ずしも「合格」への最短ルートとはいえない。大切なのは、自分に適した学習計画をつくり、状況に即して見直しながら、確実に実行していくことだ。大手予備校「河合塾」は今年、学習支援ツール「Studyplus」(スタディプラス=スタプラ)を全面導入し、長年培ってきた個々の生徒への目配りを急激に深化させているという。現場を訪ね、最新のサポートを取材した。

※Studyplus:スタディプラス株式会社が運営する学習管理アプリ

生徒を引き込む熱の入った授業。手厚い学習指導が授業の効果を一層高める
生徒を引き込む熱の入った授業。手厚い学習指導が授業の効果を一層高める

「大教室」いまや昔 激変する「求められる予備校像」

東京・多摩地区のターミナル、JR立川駅から徒歩3分。河合塾立川校は、現役合格を目指す「高校グリーンコース」と浪人生の「大学受験科」の両方を設置する校舎だ。

「河合塾に通うようになって、予備校のイメージが変わりました」

高校時代に海外留学を経験し、早稲田大学国際教養学部を志望する大学受験科のAさんは入塾前、「きっと、ビデオを見るような一方通行な授業だろう」と思っていたという。しかし、いまは「人との温かいコミュニケーションを実感できて、とても満足しています」と目を輝かせる。

例えば、ある講師の英語の授業。生徒がメッセージカードに相談や勉強の悩みなどを自由に書き込む。講師は匿名でいくつかを読み上げる。Aさんは「ラジオ番組のような感じで読み、アドバイスしてくれます。自分と同じようなことで、ほかの人たちも悩んでいると知り、頑張ろうという気持ちになりますね」と話す。

「『予備校=大教室』と想像し、入塾を検討される際に、お子さんが授業についていけるか、一人ひとりをちゃんとフォローしてくれるか不安に感じる保護者も多いのですが、立川校の教室定員はいま、20~90人程度ですね」。こう説明するのは谷口淳校舎長だ。

大手予備校ではかつて、数百人の大教室に受験生が殺到し、人気の授業では入りきれない生徒が別の「テレビ教室」で受講することもあった。そこには、大勢のライバルのなかに身を置き、競争の厳しさを実感しながら切磋琢磨する、受験生のストイックな姿勢があった。こうした気風は、いまでも学力上位層を中心にある。

だが、現在の河合塾が全塾的に取り組んでいるのは、「個」重視の徹底だ。河合塾による定期的な調査では、5年くらい前を境に、生徒・保護者が予備校に求めることが、大きく変化しているという。「最短距離で志望校に合格」「よい講師のよい授業」「充実した入試情報」に加え、「基礎から教えてほしい」「一人ひとりにフォローしてほしい」という要望が増えている。

谷口さんは「最近、『自分に合った学習計画を立てられない。勉強方法がわからない』『計画通りに進められず、モチベーションが上がらない』など学習を始める段階や継続するうえでの悩みが非常に増えていると実感します」と指摘する。小・中学生のころから、学習塾などで手取り足取りの指導を受けた経験などが背景にあるようだ。

「個」重視の伝統を象徴するチューター制度

河合塾は1968年、日本で最初に「チューター制度」を導入した予備校だ。現在に至るまで塾生一人ひとりにきめ細かな進路指導を行ってきた。予備校の使命は、よい講師、授業、テキストで確実に学力を高めるだけではない。職員や大学生のチューターが進学アドバイザーとして個々の生徒を担当し、学習計画づくりや見直しのアドバイスをはじめ、進路や受験生活などの相談に応じ、精神面を含めてサポートする。チューターは「河合塾カレッジカウンセラー制度」で生徒の適性を踏まえた大学・学部学科の選び方や学習サポートの方法などを学び、河合塾の基準に達した受験支援のプロ集団だ。

チューターは学校のホームルームのようなチュートリアルのほか、個々の生徒への対面の指導として、年間4~5回の「定期面談」、生徒の希望や気になる生徒に声をかけて行う「随時面談」、そして生徒の日々の問い合わせや質問に応じる「窓口相談」を行う。立川校の場合、職員16人、随時勤務の大学生48人のチューターが在籍している。1人あたりおおむね40人弱の生徒を担当し、「一人ひとりに目が届く状況です」(谷口校舎長)。

生徒と向き合う頻度・時間「スタプラで劇的にアップ」

ただし、チューターによる指導が「完璧」だったわけではない。大きな課題は「最適なタイミングでの指導」だったという。例えば受験勉強で大切な学習計画。定期面談や「全統模試」の後などに、弱点を踏まえ見直しをサポートしてきた。だが、模試の結果が戻るのは受験してから約1カ月後。以前は、生徒自身からのアピールやチューターの気づきがなければ、生徒は弱点を抱えたまま学習を続けざるを得なかった。

こうした問題の改善に威力を発揮しているのが、河合塾が今年(2022年)4月、全面的に導入した学習支援アプリ「Studyplus」(スタディプラス=スタプラ)だ。生徒が日々の学習状況を記録すると、日、週、月ごとに、教科・教材別の学習時間が色別にグラフ化される。学習の開始時、終了時にタップするストップウォッチ機能もあり、記録は簡単だ。

河合塾ではリアルタイムで、スタプラの履歴をチューターが共有している。チャット機能もあり、チューターとの面談日時の予約など、事務連絡が簡単になった。生徒からチューターへの質問や相談、それらに対する返答やアドバイスもチャットを通して行われる。

谷口さんに活用法と成果を聞いた。立川校は昨年4月、スタプラを先行導入したモデル推進校のひとつで、自らもチューターとして生徒指導を兼務し、スタプラ推進に積極的に関わってきたからだ。

「スタプラのおかげで、チューターが1人の生徒に向き合う時間がグンと増えています
」と話す河合塾立川校の谷口淳校舎長
「スタプラのおかげで、チューターが1人の生徒に向き合う時間がグンと増えています 」と話す河合塾立川校の谷口淳校舎長

「塾外を含め、個々の生徒の全体的な学習実態をリアルに把握できるのが最大のメリットです。対面指導とスタプラを組み合わせることで生徒と向き合う頻度・時間が劇的に増え、生徒ごとに異なる最適なタイミングで指導できるようになりました。引っ込み思案なタイプの生徒も、チャットによって気軽に質問、相談するようになりましたね」

頑張った学習記録に「いいね」をつけたり、「勉強する意味がわからなくなった」などタイムライン機能で気がかりなコメントを見つけた際は、速やかに対面での随時指導を行い、悩みをしっかり受け止めたりと、チューターがより積極的に生徒と関われるようになったという。生徒もチューターと直接会う機会まで悩みを抱え込まず、心理的な辛さが軽減される。

苦手科目の勉強のやり方がわかるようになる

では、具体的にどんな指導をするのだろうか?

「例えば、英単語を2時間、3時間と続けて勉強する生徒は結構多いのですが非効率です。『朝、晩に分けた方がいいよ』とアドバイスします」

このほか、志望校の過去問演習に長時間をかけている生徒には、1年分を取り組んだ後に、過去の授業で正解できなかった問題を復習し、別の年度をやって再確認する、というサイクルをアドバイスする。谷口さんは「必要な知識が身についていないのに、過去問だけやってもできるようになりません」と言い切る。

チューターは生徒が受験した模試結果により得意科目、苦手科目なども把握しており、スタプラで確認できる毎日の学習時間のバランスとの「相関関係」にも着目している。「理系生は考えることが好きなので、理数系の学習ばかりやっていて、単純な英単語などが疎かになる生徒も多いですね」。

学習支援ツール「スタプラ」のアプリ画面。教材ごとの学習時間の色別表示など、日々の頑張りが一目でわかる
学習支援ツール「スタプラ」のアプリ画面。教材ごとの学習時間の色別表示など、日々の頑張りが一目でわかる

当たり前のように思えるかもしれないが、自分で気づかずに非効率な学習を続け、焦りをつのらせる生徒が多いという。苦手科目も、その原因も、学習のクセも生徒ごとに異なる。スタプラの機能でチューターが個々の生徒の「いま」を把握し、それぞれに適切なアドバイスを重ねることで、学力アップの環境が一層整っていく。

生徒だけなく、スタプラの運用も「成長」させていく。河合塾では、学習の内容、量、時期と、その後の成績や入試結果との関係を蓄積。ビッグデータとして解析して次の生徒への指導に活用していく方針だ。従来は先輩のチューターが口頭伝承してきた「どのタイミングでの声かけが効果的なのか」といったノウハウも、データを根拠に明確化していく。

チャット、つぶやき…。やる気を高める「想定外の効果」

スタプラの威力を最も体感する人に話を聞いた。立川校でチューターを務める早稲田大学商学部2年の木村向日葵(ひびき)さんだ。立川校の大学受験科で学んだOGで、当時はスタプラ導入前だった。

「チューターのサポートは大きかったですね。ひとりで悩むことは少なかったです」と受験生時代を振り返る木村さん。立場が変わったいま、「みんな不安を抱えています。自分も含めてですが、自分で勉強ができる生徒は多くないですね」と指導の印象を語る。

メッセージ機能により、学習や受験への不安があれば、いつでもチャット感覚で相談
できるのも、「スタプラ」の強み
メッセージ機能により、学習や受験への不安があれば、いつでもチャット感覚で相談 できるのも、「スタプラ」の強み

昨年度は病気と闘いながら志望校を目指す生徒も担当していた。塾に来られない日もあったが、スタプラで自宅での学習状況を確認し、チャット機能で励ましながら、見事合格までサポートできた。木村さんは「スタプラで生活指導ができて本当によかったと思いました」と熱く語る。

生徒とチューターの距離は「ものすごく縮まっていると思います」。スタプラの学習記録に添えられる「つぶやき」も好評だ。木村さんは「堅苦しそうにみえた生徒が、結構おもしろいことをつぶやいていて、『へえ、こんな面もあったんだ』と驚くことも。会ったときに話題にすると、グッと親しくなりますね」と話す。大学受験科のAさんも「苦手科目を頑張って勉強した後、チューターから『いいね』をもらうと本当に励まされます」と笑顔を見せる。

谷口校舎長は「生徒の『心のボヤキ』がストレートに伝わってくることも多いです。『つい寝ちゃった』というつぶやきに『疲れたら寝てもいいんだよ』と返すこともありました」と想定外の効果に驚く。逆にサボったときに、「昨日は学習記録がないけれど、何か予定があったのかな?」などとメッセージが届くのがイヤで、机に向かう生徒もいるという。谷口さんは「それが徐々に学習の習慣になっていくんですよ」と胸を張る。

学習記録は原則非公開としているが、本人が希望すれば公開可能で、他の生徒に頑張りをアピールできてモチベーションのアップにつながる。公開された他の生徒の記録は自由に閲覧して参考にできるので、自身の振り返りや勉強方法の見直しに役立つ。

最大の目的は「主体的な学び」

河合塾の「個」を重視した指導は、いわゆる「手取り足取り」ではない。チューターの指導も基本はコーチングだ。谷口さんは「口を開けて、よりよい提案を待っているような生徒も多いですが、チューターは『こうしなさい』とあまり言いません。『どうしたらできると思う?』と尋ね、本人の『こうしたらできる』という考えをできるだけ引き出します」と強調する。

だからこそ、河合塾は「学習計画」を重要視している。いつまでに何を学習するか、何を優先するか。目標を自分で「計画」(Plan)、「実行」(Do)し、結果を「評価」(Check)して弱点を「改善」(Action)する「PDCAサイクル」だ。合格に必須なだけでなく、自分で判断する主体的な学びにつながっていく。

学生チューターの木村さんも「学習計画を立てられなかったり、無謀すぎて途中で挫折したりする生徒も多いです。学習計画を立てられないタイプの生徒には、『まず1科目から計画を立てよう』と指導します」と生徒の自立をサポートする。

スタプラの運用を取り仕切る河合塾学習支援センターの財津亮チーフは、「創立者・河合逸治による塾訓は『汝自らを求めよ』です。常に自分自身を求め、探求していくことを目指し、すべての講師・職員が動いています。志望校合格後、充実した大学生活を送り、社会で活躍する人を育成したいという想いがあります」と説明する。

「スタプラの導入で、学習方法の見直しがリアルタイムにできるようになりました」
と話す河合塾学習支援センターの財津亮チーフ
「スタプラの導入で、学習方法の見直しがリアルタイムにできるようになりました」 と話す河合塾学習支援センターの財津亮チーフ

「スタプラは、生徒による計画、実行、振り返りに優れたツールだと思っています」と財津氏は強調する。「計画の立案・実行は、まず生徒自身がやらないと意味がない。そのうえで、われわれチューターができていることを褒め、生徒自身が気づけていない視点で必要なアドバイスをすることで、生徒の自立度を徐々に高めていきます。自分で調整しながら自己を成長させていく『自己調整学習能力』をぜひ、身につけてほしいです」と訴える。そして、「その実現にはタイミングよく声をかけるなど、人が関与することがポイントです。それこそが長年培ってきたチューターの存在価値であり、他塾との違いだと思います」と熱く語る。

※学習支援ツール「Studyplus」導入コースは、「高校グリーンコース」「大学受験科」です。

提供:河合塾


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