大手町の片隅から

乾正人 「秋葉原警察」を徹底調査せよ

会談の冒頭、岸田首相(左)と握手する中国の習近平国家主席=17日、バンコク(新華社=共同)
会談の冒頭、岸田首相(左)と握手する中国の習近平国家主席=17日、バンコク(新華社=共同)

安倍晋三政権で5年近くも外務大臣を務めていたはずなのに、岸田文雄首相は、外交のイロハを学んでいなかったようだ。

外交のイロハ知らぬ首相

先週、バンコクで開かれた日中首脳会談の冒頭、首相は「習(近平)主席とは昨年10月、初めて電話会談をさせていただきました」と媚(こ)びてしまった。

外交交渉で「敬語」を不用意に使えば、その時点で2国間関係は対等でなくなる。特に国益をかけた首脳会談は、どちらかが無理を言って「させていただく」ような代物ではない。双方にメリットがあるから実施されるので、正しい物言いは「初めて電話で話しました」である。首脳会談では、あらかじめ秘書官や外務省が応答要領を作成するものだが、原案もそうなっていたなら大問題だ。もし首相本人が、アドリブで発言していたなら外交センスゼロである。これでは、戦わずして負けたのも同じで、「尖閣諸島問題など日本側の懸念を伝えた」といくら言ってみても習主席にしてみれば、痛くもかゆくもない。

しかも、世界的な問題となっている「あの問題」にも首相は、積極的に取り組んでいないのである。

「あの問題」とは、中国当局が、各国に無断で「海外警察サービスセンター」を30カ国、数十カ所に設置しているとされる問題である。

欧州の人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が発表した報告書は、同センターを拠点に中国は、海外に逃亡した中国人や政治犯らに帰国を強制的に促していると指摘。対外的な世論工作を担う中国共産党の「中央統一戦線工作部」の活動とも連動しているとしている。

米連邦捜査局(FBI)のレイ長官も米上院で「非常に懸念している」と述べ、監視を強めている。

東京・秋葉原にも「警察」があるという。報告書のリストに載っている電話番号に電話してみたが、「現在使われていません」のコールが。

平日の午後、リストの住所を訪ねると、瀟洒(しょうしゃ)な5階建てのビルで、郵便受けには「JUO HOTEL」と「日本福州十邑社団聯合総会」の表示があった。だが、ホテルのフロントは無人で、しばらく待っても誰も出てこなかった。念のため翌日の午前中も出かけたが、やはり誰も出入りがなかった。怪しすぎる。

さらに怪しいのは、「聯合総会」の顧問を務めていた国会議員がいることだ。総務副大臣を務めた経験のある松下新平参院議員である。問い合わせると、「今は辞めている」と釈明したが、経緯を詳しく明らかにすべきだ。

動き鈍すぎる官邸と国会

野党はなぜ、この問題を追及しないのだろうか。肝心の国会論戦は、事実上30年以上も政治や行政が放置してきた旧統一教会問題や、せこい「政治とカネ」の話ばかり。

目に余る中国の覇権主義や北朝鮮のミサイル乱射といった「今、そこにある危機」をなぜ論議しようとしないのか。

辛うじて参政党の神谷宗幣議員が質問主意書で、この問題をただしたが、首相名の答弁書は、「お答えすることは、差し控えたい」とゼロ回答。「調査する」の一言もなかった。

まさか、日本国民の安全安心は二の次で、習近平様のご機嫌を損ねないことこそが、総理大臣のお仕事だと勘違いしているのではないか。

しっかりしろ、岸田首相。

しっかり議論しろ、国会。

それでは、また再来週のこころだぁ!!(コラムニスト)

国外の反体制派弾圧拠点か 中国「海外派出所」の謎

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