使用済み天ぷら油などの廃食油や植物を原料とする環境負荷の少ない「持続可能な代替航空燃料(SAF、サフ)」の商用化に向け、三菱地所とプラント大手の日揮ホールディングス(HD)などは24日、廃食油の回収で連携することで基本合意したと発表した。原料の確保は最大の壁とされ、日揮HDなどが開発を手掛け、商用化レースで先頭を走る廃食油由来のSAFですら、原料調達先の開拓では「まだ努力が必要」(同社担当者)という。日本の廃食油は質の良さから海外のSAF事業者から引き合いが強く、「奪い合い」の激化で価格上昇にもつながっている。
「海外への輸出が拡大したことで、廃食油を必要としている方々に十分な量が供給されていない」。廃食油の回収業者でつくる全国油脂事業協同組合連合会(全油連)の塩見正人事務局長は現状を説明する。
全油連によると、令和3年度に国内で回収・処理された廃食油の量は38万トン。うち家畜の餌やインクなどの原料向けに25万トン。残る13万トンは燃料の原料向けとなるが、うち12万トンが海外に輸出された。全体の3分の1に近い量に達し、前年度の輸出量(9万トン)から3万トンも増えた。