新型コロナ飲み薬、塩野義「全社挙げて安全性確認」

新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」の国内の製造ライン (沢野貴信撮影)
新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」の国内の製造ライン (沢野貴信撮影)

塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」が緊急承認されたことについて、手代木功社長は24日の記者会見で「ゴールではなくスタート」と述べた。臨床現場での併用の注意や副作用などの安全性情報の提供・収集を「全社を挙げて徹底する」と強調した。

ゾコーバは政府が100万人分を購入することで同社と合意している。加藤勝信厚生労働相は緊急承認を出した22日、「流通システムの整備ができ次第、12月初頭には医療現場で使用できるよう供給を開始する予定だ」と述べている。

塩野義によると、医療機関は「ゾコーバ登録センター」に登録した上で、薬を発注するとともに患者への処方情報を登録する。塩野義は供給開始後6カ間、担当者が医療機関を直接訪問し、すべての患者について副作用の有無などの安全性を確認する。

手代木氏は「安全性に関する情報を収集し、この薬を育てていきたい。インフルエンザ治療薬のタミフルなどのように、かかりつけ医で処方され、普通の生活の中で使ってもらえるようにしたい」と話した。

ゾコーバは臨床試験(治験)で投与した患者で、オミクロン株に特徴的な鼻水やのどの痛みなど5症状の消失までの時間が偽薬投与群に比べて約24時間短いことなどが確認された。一部の専門家からは「軽症患者の症状が1日早く治まることが、実際の治療でどこまで求められているのか」と懐疑的な意見もある。

これに対して手代木氏は「ゾコーバは(体内に侵入した)ウイルスの量を減らす効果がある。症状にどのようにいい影響を与えるのかは臨床データが不十分。今後、データを積み上げていきたい」と述べ、正式承認に向けて追跡調査を進める方針を示した。

生産体制については国内のほか、海外での供給に向けて、年末までに中国の工場をフル稼働する準備が完了しており、米国でも「年明けに動かそうと思えば動かせる」と明らかにした。(牛島要平)

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